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「ねぇ、Aちゃん。」
「なに?」
「俺ね、結婚したら弁当を作って欲しい。」
全てを話し終えた私に、風磨はそう言った。
「洗って帰ってきてよって怒って欲しい。俺よりも先に起きて欲しい。朝は味噌汁をつけてほしい。あと目玉焼きもお願いしたいな〜。半熟が好き。それとベーコンも好き。あと夜ご飯の献立を考えてほしい。帰りにネギ買ってきてとか全然やる。Aちゃんのために急いで帰る。」
「うん?」
何を言ってるのか分からなくて、頭の上にハテナを浮かべる私を少し笑って、風磨は私の手を握った。
「話してくれた後に言うのもなんだけどね、俺、過去は見ない主義なの。」
「うん。」
「だから、Aちゃんとは未来しか見てない。」
なら、私の過去を話す必要は無かったんじゃないかと、また、不安になる。
「引いてないの?」
「なにを?」
「いや、私の話聞いて...」
「どこに引く要素があったの?過去も含めて今のAちゃんでしょ?これでもしAちゃんがどこかで死を考えたとかなら話は別だけど、そんな事本気で考えた事無かったでしょ?それならいい。今、こうしてAちゃんが生きてくれているだけで、俺は幸せ。」
そう言ってくれる風磨に、ぶわっと涙が溢れた。
「あー、もう。泣かないで。ダメ。俺、Aちゃんの泣き顔ツボなの。そんな顔見せられたら俺、我慢出来なくなっちゃうから。」
「 変 態 。」
「ははっ、人聞きが悪いなぁ。紳士と言って。」
あー、もう、好きだ。
きっと今、私は風磨に裏切られてしまったらもう、後がないかもしれない。
「私でいいの?」
「えっ?」
自分に自信がなくて、思わず声が小さくなってしまう。
「私でいいの?私、ダメな人間だよ?」
「どこがダメなの?ってかダメってなに?ダメじゃないよ。そんな事言わないで。Aちゃんを好きな俺に失礼でしょ?」
もう、本当にこの人は殺し文句が上手い。
ほら、また好きが溢れてしまう。
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作者名:はる | 作成日時:2018年3月3日 19時