135 ページ15
Kento
「終わらせよう、もう。」
「そうね。」
彼女との行為の後は、お互いいつもなんの余韻もない。
「最初は寂しさを紛らわす為だったけど、なんかもう、飽きちゃったわ。」
「ははっ、誘ったのはそっちなのに。」
「あら。煽ったのは中島くんでしょ？」
半年前。
好意を寄せていた相手に、"お前は俺の好みじゃない。俺には彼女が居る。" だなんて言われたらしい。
その日はクリスマスで、彼女の予定を放ったらかして自分との時間を作ってくれたのに。
そんなの、あんまりだって。
「真剣に授業を受けていた中島くんだからこそ、私の少しの異変に気付いたのよね。」
「俺、相当気持ち悪いね。」
誰も聞いちゃいない彼女の英語の授業を、俺は真剣に聞いていた。
静かに、淡々と、まるで数学でもしている気分になる彼女の授業は、生徒からは不人気だった。
クリスマスの次の日、補講授業を受けていた俺は、いつもより彼女の声のトーンが低いことに気がついた。
授業終わりに話して、そのまま...ってとこから俺たちの関係は始まった。
「ねぇ、中島くん。」
「ん？」
「私達の関係って、なんだったんだろうね。」
綺麗で美しいと顔には懐かない煙草を彼女が咥えた。
そのまま服を着出すから、女ってのは見た目じゃどうも中身が分からないもんだ。
「なにって... セ フ レ ？」
「やっぱそうよね。」
下着を付けるのを手伝いながら、彼女の吐く煙を浴びる。
でもそれは、どこかむさ苦しい物ではなく、むしろ心地良かった。
「じゃあ、質問を変える。セ フ レ ってなんだと思う？」
「は？」
「私はね、男女の友情の最終到達地点だと思うの。」
煙草を灰皿に押し付けた彼女は、セーターを着て、可愛らしいピンクベージュのコートを羽織った。
「中島くんは、あの人が好きなんでしょ？」
「え？」
「ほら、いつも一緒に居るじゃない？彼と。」
「ははっ、バレてたか。」
「よく私みたいなおばさん相手に勃ってたわね。」
「ハナさんは、おばさんなんかじゃない。」
「あら。ありがとう。じゃあ、さよなら。」
大して俺の言葉を間に受けていない彼女は、そのまま背を向けて部屋を出て行った。
俺は、そのままベッドに倒れ込み、天井を見上げることしか出来なかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2330人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はる | 作成日時：2018年3月3日 19時
