忘れられないほどに【東京卍リベンジャーズ】

11 ページ11

当たり前なんて存在しない世界で生きてる



今日という日が無事に来るかわからない。
昨日という日を迎えられるかも分からない


誰が、どうなるのかなんて分からない



｢神原 Aさん、気分は大丈夫ですか？｣

｢精神的にきつい所はあると思いますが、一緒に乗りきっていきましょう｣


優しく微笑む看護師さんは偽善者か。否、私がそう捉えてしまうだけ


｢A、お願いだからご飯は食べてちょうだい…。お母さんも心配なの。こんなこと言ったらダメなのはわかってる。でも、あなたが助かってよかった…。｣


私がここへ来てからずっとそばに居てくれる。迷惑かけちゃダメだってあれ程思ってたのに、ごめん。泣かないで。

思い、発しようと。口からこぼれるものは空を舞い落ちる自身の吐息だけ。









ｰｰｰｰ《昨夜の午後6時頃、渋谷駅付近で乗客を乗せたバスが信号無視をしたトラックと衝突し横転。トラックの運転手は即死、死傷者は20名以上出ており、乗客の身元確認が今も尚行われております》


何気なく着けたテレビ



日常の中に溶け込んでた



その日以来Aが道場に、真一郎の元へ来ることは無かった



｢なあ、万次郎、最近Aと会ってねぇか？｣

｢学校も夏休み入ったから｣

｢おかしくねぇか、夏休みでも道場来てたのに｣

｢ん、｣



フラッシュバックするニュース


《明日、友達と渋谷に出かけるんだ》

些細な会話


まさか、なんて



でもそのまさかが怖くなって




急いでAの家に行こうとする2人



兄弟で考えてる事はおなじ



歳は違えど、思う気持ちはおなじ




｢…一緒行くか｣

｢うん｣








Aの家へ行けばあかりも着いてない。
チャイムを鳴らせど反応無し


徐々に焦りは確信へと




｢真一郎、ここから近い病院は｣

｢多分あそこだ。｣








真っ白い、世界の汚を取り除いたような場所



｢す、すみません。神原 Aさんってここに入院していますか？｣



一か八か、吉か凶か




｢神原さんの、面会でしょうか？｣




そう言って案内されたのは共同病室


入口の前に神原Aって書かれてて



怖いっていう気持ちが8割、生きてるっていう気持ちが2割





｢A、｣






1番端っこのベット、チューブに繋がれて、不健康な体。その目にいつもの光はなくて



｢来ないで欲しかった｣




彼女からこぼれた言葉は本心








すみません少しシリアス入ります

12→←10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す