時を架ける人よ 【名探偵コナン】

昔話 ページ13

Aは小学生になった。


出会った頃は、ボクたちに引っ付いてばかりで何をするにも一緒だった。


否、ボクたちがAに引っ付いてたかのかもしれない


Aは物覚えが良かった。

そして何より全てにおいてセンスがあった。それは異常なくらいに


小学生とは思えないくらい大人びてる



また、元から綺麗な容姿は歳を増す毎に磨きがかかった



ボクの幼なじみ達は美形だ



隣にいて少しいや、かなりそういう面に関しては嫌だと思う。


2人が並べば、それはさぞかしお似合いのカップルのようになる



まだ小学生かもしれないけれど、これから一緒に歳を重ねるごとに多分それは増すことになる。


それがとてつもなく怖い



何をするにも、どこを歩くにも言われるのは2人で



いつしかAと零の目からボクは消えてしまうんじゃないかと



『何怖い顔してるの？』


｢しかめっ面しやがって｣



あぁ、こんなこと思っちゃいけないと思うんだ



だって、2人はいつでもボクを見ていてくれるから


だから、Aの中にある零への憧れと



零の中にあるAへの淡い感情には見て見ぬふりをする



2人が気づかないように。



ボクだけが知る。ボクだけのあの子への感情も



この関係がずっと続くように



『ねぇ、ヒロ。手繋いで？』


ほら、一緒だよと、



Aは人の心を読む力があるんじゃないかと時々思う



なんでも見透かしたように、欲しい時に欲しい言葉を与えてくれる



だからこそ、抜け出せなくなる



｢おい、｣


そう言ってボクの手を握っていない方のAの手を零が掴む


｢ボクは仲間はずれか？｣


その行動を起こす感情が何から来るのか




『もー、ゼロは甘えん坊ね』



4個下にそんなことを言われる零が面白くてたまらなくなる。


｢おい、景。それ以上笑ったら怒るぞ｣



キリッと鋭く睨まれる



｢ごめんって｣



あぁ、これがずっと続けばいいのに



『私、将来は警察官なりたいの』


何を言い出すんだと思った



｢それはどうしてだ？｣


『自分の正しい正義を掲げて生きて生きたいから、かな』



小学生になりたての子が言うセリフじゃない



『探偵も好きだけど、ちょっと、将来の安定には不足だからね』



どこまでこの子は考えているのだろうか




少し怖くなる



｢したら、ボクも警察官になる。Aの上司になってやるよ｣


なんでもAの上にたちたがる零



｢そうだね、ボクは両親の事件の犯人を捕まえるよ｣


多分、Aはずっと一緒だよとボクへの遠回しのメッセージをくれたんだと思う

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