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無惨の舌が私の歯茎を撫でた。
舌は私の舌に絡まり、部屋にはその音が響いた。
「…っふ、あ、っあ」
息と変な声が漏れる。
無惨の冷たい手は、私の身体をなぞった。
頭が回らず、ぼーっとしていると、下腹部に衝撃が貫いた。
ただ、身体に貫く快楽と、自分のしてしまっていることの重大さに頭がおかしくなりそうになる。
こうやって、無惨の為だけに生きて、道具として使われるのか。
私は快楽の海に溺れて、意識を手放した。
.
目を開けると、身だしなみを整える無惨の姿があった。
身体を動かそうとすると、手や腕は重く、見れば鎖に繋がれていた。
無「お前は何処へもいかぬよう、それに繋いだ。自分では何もできぬだろう?私が何でもしてやろう。食事も何もかも、お前は私がいないと生きていけないのだ。」
「そうやって、私を縛り付けて、不安を隠すのね、貴方は。可哀想な人。」
その瞬間、頬に痛みが走った。
無惨が私を殴ったのだ。
無「ふざけるのも大概にしろ。お前なんていつでも殺せるんだからな。お前の命は私の手の中で握られていることを忘れるな。」
無惨は冷たくそう言ったが、鮮血色の目の奥には悲しみが宿っていた。
「…。」
無「…あぁ、悪かった。椿、頬は痛くないか。お前の白くてやわらかな頰が傷ついてしまったら私は…。」
そう言って無惨は私の頰を撫でた。
さっきまでの剣幕は何処へ行ったのやら、手のひら返しで猫を撫でるように私に優しくしてくる。
なんなのだ。気持ちが悪い。
無「椿…。私はお前を愛しているんだ。だからこんなことをしてしまうんだ。わかってくれ椿。私の椿。」
私の髪を撫で、割れ物に触れるかのようにそっと触れるだけの口吸いをしてくる。
無「少し無理をさせ過ぎたか?ご褒美の血だ。今日はこれを飲んだら寝てしっかり回復しなさい。…それから乱れた椿も美しく愛らしいが、また八重でも呼んで着付けし直してもらえ。」
無惨は自分の指を切って血を出し、私へ咥えさせた。
口の中に広がる甘美な味。
先程までの怠さは消え、体力が回復するのがわかった。
あぁ、私は鬼なのだ。
もう、いい。
鬼の首魎に愛される、鬼の姫とでもなんとでもなってやろう。
無惨の言うことも聞き、無惨のモノになってやろう。
「…無惨様、いってらっしゃいませ。」
無「ああ、行ってくる。」
こうして私は鬼の姫になった。
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HARu(プロフ) - Ωさん» 申し訳ございませんが、現在リクエストは受け付けておりません…。リクエストは受け付けられませんが、今後もよろしければこの作品を読んで頂けると嬉しいです! (2020年5月9日 20時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
みるく餅(プロフ) - Ωさん» まずリクエスト受け付けて頂けるか聞くのが先ではありませんか? (2020年5月9日 20時) (レス) id: bf52b07c83 (このIDを非表示/違反報告)
Ω - 鬼舞辻無惨様が夢主を溺愛してる話と鬼舞辻無惨様が夢主の信者みたいになって夢主の言う事だけは聞く話見たいです他の鬼殺隊や鬼達には原作通りで無惨様は日光も克服してる少量の血を飲むだけで良い設定で (2020年5月9日 20時) (レス) id: 421640d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
HARu(プロフ) - 神楽 林檎さん» 神楽さん!ありがとうございます!私のいろんな作品にコメントしてくださっていますよね?本当にありがとうございます!中々更新頻度が少なく申し訳ございません。高頻度で更新できるように頑張ります!今後もよろしくお願いします! (2020年5月9日 1時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 林檎 - 更新頑張って下さい!応援してます!! (2020年5月8日 21時) (レス) id: a7e0927490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HARu | 作成日時:2019年12月30日 23時