菖蒲鳥ﾎﾄﾄｷﾞｽ＿＿【尾形】 (ページ2)

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告白＿ページ2

「先生、こんな事駄目ってわかってるけど … 」

頬が紅潮していくのがわかるほど熱を持ち、

ドキドキと飛び出るんじゃないかと思う程鼓動が早くなった。

夕暮れが風に棚引くカーテンの間から教室へキラキラと染み出ている。

ここまで言ったら言うっきゃない。

「私、尾形先生の事が好＿」

"好き。"と言いかけたとたん、唇に先生の人差し指が当たった。

これは、尾形先生特有の"静かに"の合図だ。

すると、廊下から運動部の掛け声が聞こえた。
掛け声と足音が遠ざかったところで、向き直る。

「ごめん、俺はお前の事嫌いじゃねぇが…」

あ、振られた。
思わず、顔を下に向ける。先生と私の重なっている影の部分が今の状況に対して嫌みを言ってるようで苛立たしく感じた。

「受け入れる事はできねぇ」

唐突に涙が溢れ出した。情けない、わかっていた結果なのに…。
こんな醜い姿、先生に見せたくない。走って逃げかけようとした時、

がしっと、尾形先生の大きな手が私の手首を掴んだ。

「話をちゃんと聞け」

左手でこつんと私の額を叩く。
そしてそ、頬に流れる雫を優しく拭き取った。

「俺達は、教師と教え子の関係だ。だから、付き合う事はできねぇ。でも、お前はもう高３だろ？」

見上げると、普段見せない柔らかい顔がそこにあった。

「卒業し終えても、まだ俺の事が好きだったら、その返事をしてやる」

「ずっと、好きですよ。ずっと、このまま」

満面の笑みを投げ掛け、そう言う。
溢れる涙の味は甘いものに変わった。

「だから、先生も約束」

小指を差し出し、絡み合わせた。

赤い糸を＿＿＿＿。