友情の芽生え ページ13
××
ハリーとロンが立ち上がるより早く、シェリーが立ち上がった。
「ロンもハグリッドも善い人よ」
静かな声で、けれど何処か怒りを含んだ言い方だった。ロンはシェリーが自分の為に怒ってくれたことが余程嬉しかったのか満面の笑顔を浮かべた。
「な……君はこいつらの味方をするのか！？……あぁ、思い出した。父上から聞いてたよ。シェリーってシェリー・アドラーだろ？マグルの孤児院で育ったっていう……綺麗なのは外見だけで中身は汚れてるんだ！」
今度はハリーとロンの番だった。
もういっぺん言ってみろ、とロンが吠える。
ハリーはマルフォイを殴ってやりたくてしょうがなかった。しかし、シェリーは落ち着き払った態度でそうかもしれないわ、と笑った。
「あなたの言う通り、私はどうしようもないほどに汚れてる……もう後戻りなんて出来ないくらいにね。どうせ後戻り出来ないんだから、」
シェリーは胸ポケットから杖を取り出すとマルフォイに向けた。
「何をしたって自由だと思わない?」
恐ろしいほどに美しく微笑したシェリーは無言で杖を振った。するとマルフォイの口からぷくぷくと泡が沸き出した。マルフォイは苦しげに咳き込みながらハリーたちのコンパートメントから逃げ出した。
「い、今のってもしかして無言呪文？
すごい。一年生が使える魔法じゃないよ！今あいつに放った呪文はなに？」
「ふふ。汚い汚い言うから彼の口の中を清めてあげたの。でも、これは秘密よ？」
シェリーは笑みを浮かべながら答えると、杖をポケットに戻した。同時に、戸が開きハーマイオニー・グレンジャーが顔を出した。
「なんだか騒がしかったけれど、何があったの？」
「別に何にもないさ。なぁ、ハリー？」
「うんうん」
ハリーは全力で頷くが、ハーマイオニーは疑わしそうに見ていた。ロンは話題を変える為、ハーマイオニーにたずねた。
「何かご用？」
「あなた達、急いだ方が良いわ。ローブを着て。私、運転手に聞いてきたんだけど、まもなく着くって」
「着替えるからよろしければ出てってくれないかな？」
「あら、それならその子も出て行った方が良いんじゃなくて？」
ハーマイオニーはシェリーに視線を向けた。シェリーはじっとハーマイオニーを見つめ返す。やはり言い過ぎてしまっただろうか。少なくとも、自分より歳下の相手に取る対応ではなかったことは確かだ。
**
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1696人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
好き - めっちゃ面白いです！！質問ですが、クララさんは「リミット」の主人公という解釈であっていますか？ (9月11日 22時) (
レス) @page50 id: 7b1f7a885b (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ(プロフ) - すみません。アドラーというのは本作に出てきますでしょうか。調べても出てこなくて… (8月24日 9時) (レス) @page49 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
本都 - 失礼します。クララの子供はレギュラスの子供でしょうか (2021年8月15日 13時) (レス) id: 7aa513530e (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 柊あんずさん» どんな更新速度でも完結まで追い続けます！応援してます！ (2020年10月24日 0時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます〜！今までが遅すぎたんですよ…だってこれ連載したの2018年ですからね…申し訳ない…これからも応援よろしくお願いいたします…！ (2020年10月23日 21時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
