初めての恋は少し苦い ページ11
××
思わぬ横槍に顔をひきつらせながら、セブルスの隣に戻る。気に入ったのか、と問われて小さく頷く。
真っ赤になった顔を隠すようにテーブルに突っ伏した。
まだ組分けも終わっていなければ、入学式も終わってない。相変わらずスリザリンのテーブルでは私の悪口が飛び交っていて、レギュラスに知られるのも時間の問題だなと思った。
「クラウチ・バーテミウス！」
セブルスに頭をはたかれたので、顔を上げて組分けを見る。あの子はグリフィンドールじゃない？と言えば、スリザリンだろ、とセブルス。
「スリザリイイイイン！！」
当たった、とセブルスが得意気な顔をした。
スリザリンにも次々と新一年生が入ってきて、私も先輩になるのかあ、と今更ながら実感した。
「おめでとう。我が寮は君を歓迎する」
(また言ってる……)
***
私の予想は見事に的中し、無事、今年のスリザリン新入生全員に私の悪評は広まった。お陰さまで完全に私のことを舐め腐ってる一年生も出てきているので辛い。
「あ、レギュラス」
「……こんにちは。アドラーさん」
一番辛いのはレギュラスの態度だった。
彼は他の生徒と違って決して私をバカにしたり、指差して嘲笑ったりはしない。ただ、私に向けてくるレギュラスの瞳には侮蔑の色が混ざっていることくらいお見通しなわけで。
(完璧に演じられないところが……子供らしいわね……)
まあ、私も子供だけど。
▽
私は図書室が好きだ。本に囲まれた自由な世界。ホグワーツの図書室には無数の本があって、ここの本を全読破するのが私の夢だった。しかも、この時間帯はあまり人がいない。他人の前で絶対に泣かないと決めている私は図書室の隅で声を押し殺して泣くのが日課だった。人さえいなければ、私はどこでだって泣ける。
何度目になるかわからない涙の予感を感じたとき、見覚えのある黒髪が見えた。
「レギュ、あ……」
「……アドラー」
シリウス・ブラックだった。
不愉快げに舌を打ったその顔は確かに端麗ではあるけれど、端麗なだけ。レギュラスの方が魅力的だ。
「今、弟と呼び間違えただろ」
「……」
「あいつの兄として忠告してやるけど、あいつはやめといた方が良い」
「なんで」
あいつが純血主義だからだよ、とシリウスが忌々しそうに言った。ブラック家は代々純血主義。一方で、私は父親も母親も分からない孤児院育ち。天と地ほどの差があることは私にだって分かっている。
**
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や(プロフ) - とても面白かったです……。主人公ちゃんとロックハート、クィレルとの絡みとかめちゃめちゃ良かったです！素敵な作品ありがとうございました！ (2022年3月20日 20時) (
レス) id: b5a009288d (このIDを非表示/違反報告)
ぴ - 初めまして。とっても面白くて大好きな作品です。応援しています！一つだけ気になったのですが、OWA試験ではなくOWL試験ですよ！ (2021年9月10日 14時) (レス) id: dbaf625547 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - mikittyさん» 更新してすぐにコメントくださりありがとうございます！mikitty様は一番最初にコメントしてくださった時からずっと応援してくださっていて本当に感謝しかありません…！リセットの方でも宜しくお願いいたします！ (2021年9月9日 1時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！！「リセット」期待しています！ (2021年9月9日 1時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 本都さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…全部大好き、って最高に嬉しい言葉だなと思いました…本当にありがとうございます！こちらの作品はもうすぐ完結しますので最後まで宜しくお願いいたします！ (2021年9月8日 22時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
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