【Harry Potter】恋をして大人になる【賢者の石】 (ページ4)

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あれから何日か経ち、不安はなくなり楽しみだけが残った。

「明日かぁ……」
またあの男の子――ハリー・ポッターという子――に会えるかしら。

Aはその男の子のことを思い出すたび、ため息をついた。
気になって仕方ないのだ。身なりは貧しい感じだったが、それも謙虚を連想させてとてもいい雰囲気なあの子が――。

、

ホグワーツ入学、当日。
父親のアレックスは魔法省に勤めているのでついて行けないので母親の喜与那がついて行くことにした。
九と四分の三番線。それはきっと幸せの扉。Aにはそう思えて仕方なかった。

ホームには、初めて見る列車とか、切符を持っているマグルがたくさんいた。

「ママ、どこなの？」
「あっちよ。本当にもう、マグルが多すぎて……キャッ！」

喜与那がマグルの群れに押されて、転んでしまった。ヒールなのでさぞ歩きにくいことだろう。

「oh! ママ、大丈夫？」
「大丈夫よ。さぁ早く行きましょ……」

ふたたび歩きだす二人。

「Aっ」
Aの真後ろから、弱々しく聞こえる。
――あたしの名前を呼んでいる――誰？

ふりかえりざまに一人の男の子と女の子、それにその子たちの親だろうか――女親が見えた。

「あら！ハリー！」ハリーが、たくさんの荷物を持って、さっきの喜与那のように、マグルの群れにもみくちゃに押されながらこっちに向かってきた。

「久しぶり。元気かい？」

かけよるハリーを見て、Aはニッコリする。

「ええ、もちろん。……あなたは？」
「あら、あのときの子ね？ A、紹介しなさいよ」

喜与那は笑顔でAを小突いた。

面白がってる。絶対。Aはそう確信した。

「ママ、特急に遅れちゃうから、ホームに着いてからにしよう」
「ああ――そうね、……あら。残念だけどそんなに時間はなさそうだわ！早く早く。ハリー、そこの壁に向かって行くのよ。怖かったら走って行くといいわ」

「ああ……ありがとうございます。君は？」
「あたしはハリーの次に行くわ。ほら、遅れるわ」

ハリーは背中を押され、つまずきそうになりながら、走って行った。

その様子を見ながら、Aは自分の母親にキスをし、それじゃあ行くねと言い、ハリーと同様走って行った。

「楽しい一年になるよう祈ってるわ」
喜与那が笑顔でそう呟いたのは、誰にも聞かれなかった。
なにしろ人が多いのだ、ここは――。