第十二話「覆い隠して」 ページ9
遠い、遠いところから声がした。優しく、なだらかで、泣きたくなるような、そんな響きだった。だがそれはどことなく悲しそうで、リヴィは自分まで悲しくなった。
声が近くなっては遠ざかる。さながら緩やかな波のようで、聞いているとなぜか気持ちがやすらいだ。リヴィは声に身を任せ、微睡みの中で涙を零した。
ふと声が消え、急に世界が暗くなったと感じた。
心細くなっていると、頭に温もりが置かれた。どこか懐かしく、胸が締め付けられる。壊れ物を扱うように触れられ、それが手だと分かった。手が動く度に髪が少しついていき、さらさらと擦れる。その感触が心地よくて、リヴィは安心した。
これではまるで――。
「ド、ラコ」
気がついたら、その名を掠れた声で呼んでいた。一瞬、手の動きが止まる。
そうだ。幼い頃、ドラコは泣いている私の頭に手を乗せ、優しく撫ででくれた。転んで怪我をしたとき、怖い夢を見たとき。……本当の両親がいると知ったときも、そうだった。
こうしてもらうのは久しぶりで、リヴィは安らかに意識を手離した。
*
すぐに眠りから覚めた感覚だったが、もうドラコはいなかった。夢だったのだろうか。そうかもしれない。来るはずがないのだから。
胸にちくちくと刺さるような悲しみを覚えながら、リヴィはベッドの上で身体を起こした。どうしてここにいるのだろうと思い辺りを見回し、起きたばかりで鈍い頭を回転させて、身じろぎせずに考える。
今考えると、意識がなくなったのは、スネイプ先生に何らかの魔法をかけられたからだと分かる。
そして、ここは医務室だと気づいた。ロングボトムを連れて行ったときに同じ部屋に入ったからだ。
……ロングボトム。
その名前を思い出すとロングボトムの言葉や、言い返してわけのわからないままに魔法をかけてしまった出来事全てが、頭の中に蘇ってくる。
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蒼(プロフ) - eryさん» ずっと更新が止まっているのにコメントありがとうございます。いつになるかは分かりませんが、投稿したらよろしくお願いします。 (2019年3月3日 23時) (
レス) id: 5cd05e93e8 (このIDを非表示/違反報告)
ery(プロフ) - ゆっくりでいいので更新頑張ってください！ (2019年2月21日 14時) (レス) id: b4108c4e9e (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 蓮さん» 今日更新したいと思います。遅くなってしまい、すみません。 (2018年2月16日 18時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 碧さん» 第十一話は重要だと思っていて、他の話以上に気をつけて文章を書いていました。なのでそんな風に言ってもらえて本当に舞い上がりそうです！ありがとうございます！頑張ります。 (2018年2月2日 21時) (レス) id: d4697bad1b (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - とっても良かったです。今までにない感じでひきこまれました。第十一話が好きです。これからも頑張ってください、応援しています。 (2018年2月1日 1時) (レス) id: 434e08913c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓮 | 作成日時：2017年5月14日 23時
