第十話「それは真実か、否か」 ページ5
ホグワーツに行く日が近づいてきた。そのことがたびたび頭に浮かぶようになり、リヴィは憂鬱だった。二年生になっても嫌われているのだろうか、と顔を歪める。
でも、もしかしたら、周りの子たちは飽きてきてるのかもしれない。だって、最初は聞こえるよう悪口を言われていたが、一年生が後半になる頃には収まっていた。だから二年目は嫌われなくなる……なんて。
そんな希望を持ったが、違っていたらきっと立ち直れない。それゆえに儚く、とても小さなものだった。
そんなどっちつかずの状態が続いていたある日のこと。リヴィは写真に写るベラトリックス・レストレンジとロドルファス・レストレンジを見て、呆然としていた。驚きで言葉にならない声が微かにもれる。
ベラトリックス・レストレンジが抱えている幼い子供は、私だと確か聞いた。そのことを思い出し、リヴィは表情を曇らせた。
食い入るようにじっくりと見つめていると、顔や雰囲気が自分と似ていることに気がついた。この写真を見ていると、本当にあの二人の子だという事実を突きつけられているような気がしてくる。
リヴィが写真を持つ手に力を込めると、ベラトリックス・レストレンジが微笑んだ。――リヴィに向かって、愛していると言わんばかりの表情で。優しく、昔のリヴィを抱き抱えながら。
その瞬間、頭の奥がじんと痺れた。
(……違う)
この人は。残酷で冷徹で。例のあの人を崇拝していて、家族でさえも大事に思っていない。そうやって昔の私を愛おしそうに抱きしめることもしない。笑いかけることもなくて――みぞの鏡で見たときだって、恐ろしい笑みを浮かべていた。だから、そんな人だと思っているのに。
だけれど、写真では微笑んでいた。
だが、リヴィは否定する。
絶対に違う。
そんなはずはない、と。
力を込めすぎて握り潰していた写真を広げ、折れた方向に線の入ってしまった部分を押して伸ばした。写真を凝視したままリヴィは黙り込む。
しばらくすると、今度はロドルファス・レストレンジに目を移した。こちらは無表情で、愛想の欠片も見当たらない。その瞳はどこまでも暗い闇に染まっている。
いつもなら嫌になるのに、今だけ心に広がって行く安堵の気持ちには、我ながら心底呆れた。
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蒼(プロフ) - eryさん» ずっと更新が止まっているのにコメントありがとうございます。いつになるかは分かりませんが、投稿したらよろしくお願いします。 (2019年3月3日 23時) (
レス) id: 5cd05e93e8 (このIDを非表示/違反報告)
ery(プロフ) - ゆっくりでいいので更新頑張ってください！ (2019年2月21日 14時) (レス) id: b4108c4e9e (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 蓮さん» 今日更新したいと思います。遅くなってしまい、すみません。 (2018年2月16日 18時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 碧さん» 第十一話は重要だと思っていて、他の話以上に気をつけて文章を書いていました。なのでそんな風に言ってもらえて本当に舞い上がりそうです！ありがとうございます！頑張ります。 (2018年2月2日 21時) (レス) id: d4697bad1b (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - とっても良かったです。今までにない感じでひきこまれました。第十一話が好きです。これからも頑張ってください、応援しています。 (2018年2月1日 1時) (レス) id: 434e08913c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓮 | 作成日時：2017年5月14日 23時
