第八話「絶望」 ページ1
……どうしたらよかったのか。
自分の部屋に着いた途端、リヴィは下が床なのも忘れ、気が抜けたようにドアの前で座り込んだ。膝を抱え、やっぱり無理だと呟く。
会えたときは涙がでるほど嬉しかった。それは今でも変わっていない。
しかし、ホグワーツにいるときに思った通りだった。グリフィンドールに入ったことが心苦しくて、どうして入ったのかと思われているのかもしれない、と考えたらとてもじゃないが普通に話していられないのだ。
みんなも困惑しているような目をする。それを見たら、わけのわからない感情でもやもやして心が締め付けられた。
惨めだった。どうしようもなく。
「リヴィお嬢様」
ドアの向こうからドビーの声がした。リヴィは立ち上がり、何もしていなかったように装う。ドビーに声をかけて部屋に入らせた。
……前より怪我が酷くなっている？ ドビーを見つめたリヴィが持った思いはそれだった。こちらが痛みを感じそうなほどに酷い。
「何？」
「ご主人様がダイアゴン横丁へ行くとおっしゃられました。リヴィお嬢様はどうなさいますか」
リヴィは押し黙った。当たり前だが律儀に待っているドビーに、やっとのことで頷く。
何度か言葉を交わした後にドビーがいなくなると、リヴィは嘆息した。しもべ妖精を見ているとみぞの鏡に映った光景が蘇る。あの苦しんでいる様子が、頭の中から離れないのだ。それは恐ろしいからか。それとも自分が笑っていたことによる罪悪感からか。分からなかった。
リヴィはつかのま目を閉じると、また新しく増えた悩みに思考を切り替えた。
ドビーによると、ドラコとルシウスでダイアゴン横丁に行くようだ。私も一緒に来ていいらしい。
今なら部屋にこもっているからあまり話さないけれど、外に出たら顔を合わせることになる。それは、絶対に気まずくなることを指す。
頭を抱えたとき、ある考えが浮かんだ。と同時に絶望する。――私に選ぶ余地はない。断ったらどう思われるか？ 分かりきったことだ。
リヴィはうなだれ、襲いかかってくるような絶望感に身を任せた。つまり、諦めたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼(プロフ) - eryさん» ずっと更新が止まっているのにコメントありがとうございます。いつになるかは分かりませんが、投稿したらよろしくお願いします。 (2019年3月3日 23時) (
レス) id: 5cd05e93e8 (このIDを非表示/違反報告)
ery(プロフ) - ゆっくりでいいので更新頑張ってください！ (2019年2月21日 14時) (レス) id: b4108c4e9e (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 蓮さん» 今日更新したいと思います。遅くなってしまい、すみません。 (2018年2月16日 18時) (レス) id: 8bca99ae07 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 碧さん» 第十一話は重要だと思っていて、他の話以上に気をつけて文章を書いていました。なのでそんな風に言ってもらえて本当に舞い上がりそうです！ありがとうございます！頑張ります。 (2018年2月2日 21時) (レス) id: d4697bad1b (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - とっても良かったです。今までにない感じでひきこまれました。第十一話が好きです。これからも頑張ってください、応援しています。 (2018年2月1日 1時) (レス) id: 434e08913c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蓮 | 作成日時：2017年5月14日 23時
