第五話「家族」 ページ12
リヴィの目線の先に、グリフィンドールの生徒に囲まれたハリー・ポッターがいる。スニッチを掲げて「取った」と喉を抑えながら叫んでいた。
*
あのクィディッチの試合以来ホグワーツで話されるのは、あのハリー・ポッターがスニッチを口で取ったことだ。面白おかしく、しかし尊敬を込めてよく語られていた。
あそこにいる二人も話している。と気づいた。
前から歩いて来るため、その声はだんだん大きくなってきたが、すれ違うと小さくなり、リヴィの話に変わった。
いつものことだ。そう思ったが足を一瞬、止めてしまった。しかし耳を閉ざし、心を押し隠し、気にしない振りをして、さっきまで考えていたことをまた頭に思い浮かべる。
……ドラコ自身が戦っていないとはいえ、敵視しているハリー・ポッターが勝ったのだ。ドラコは悔しがっているだろうか。自分が戦ってやりたかったと思っているかもしれない。二年生になったらクィディッチの選手になっていたりして。
リヴィは硬くなっていた表情を緩めた。
ルシウスに頼むのかな。でもナルシッサは危ないと止めるかもしれない。昔私が箒に乗りたいと言ったとき止めたから。あの時、私はどうしても乗りたくてふてくされ、隠れて乗ろうとした。だけれどルシウスに見つかって……。
自分を噂する声から逃げたくて早く動かしていた足を、今度こそ止めた。
もうすぐクリスマス休暇がやってくる。つまり家に帰ってもいいのだ。その日がじわじわと近づいてくるほど、みんなの顔が頭に浮かぶ。
もしも、どんな心配事もなく会うことが許されるのなら。
こんなことがあったよって、喋りたい。
スリザリンに入らなくてごめんなさいって、謝りたい。
誰も話しかけてくれないって、もうホグワーツに居たくないって、泣きたい。
そうだったのって、いつもの優しい目で、私を……。
……会いたい。
心の中が、ぐちゃぐちゃした感情でいっぱいになった。
(でも、帰ったら迷惑になる)
グリフィンドールに入って。
育ててくれた人を、兄妹のように育った人を、裏切って。
どうして私はグリフィンドールなの。入りたくなかったのに。
何度も嘆いていることをまた嘆く。
(昔に戻りたい)
あの人たちの娘だということを知らずマルフォイの家に産まれたと思い込み、ホグワーツに夢を見ていた頃に。
思い浮かんだ記憶を消したくなくて、固く、目を瞑った。
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しお(プロフ) - 紅苺さん» そうだったんですね。知らないのに読んでいただきありがとうございます。書き方を褒めてもらえて嬉しいです。頑張ります。 (2017年6月13日 19時) (
レス) id: d4697bad1b (このIDを非表示/違反報告)
紅苺(プロフ) - 読ませて頂いたのですが、私はハリー・ポッターの事はあまり知らなくて……。話の内容についての事は言えません、すみません。ですが、書き方に関してはとても凄いと思いました。言うこと無いです。これからも頑張ってください！ (2017年6月10日 13時) (レス) id: b64ce74074 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 万鈴さん» 本当に、素敵ですよね。このCSSは少しだけ改変していますが、元々は「古読」さんが作ったものです。 (2017年6月2日 21時) (レス) id: d4697bad1b (このIDを非表示/違反報告)
万鈴 - CSS素敵ですね！何方が作ったんですか？是非、教えて頂きたいです。 (2017年6月2日 21時) (レス) id: 8cbbd57a2b (このIDを非表示/違反報告)
naccy(プロフ) - しおさん» この小説読んでる中で一番好きなんですよ(*´▽｀*)更新ファイトです！ (2017年5月15日 21時) (レス) id: d9437da227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蓮 | 作成日時：2016年10月13日 20時
