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ハリー・ポッターと呼ばれた少年が前に出ると突然広間中に囁き声が広まった。
「ポッターってそう言った？」
「あのハリー・ポッターなの？」
皆知っている少年なのかと、無理矢理自分を納得させる。
少年が帽子を被ってから数分後、帽子が「グリフィンドール！！」と叫んだ。
その途端グリフィンドールの机が歓声をあげた。
｢ポッターを取った！ポッターを取った！」
と言う声さえも聞こえる。
その後もどんどん呼ばれていき残り数人となった。
あれ、これ本当に私は呼ばれないのね。
皆組み分けが終わり席に着いた途端騒がしくなる。するとダンブルドア…ホグワーツの校長は立ち上がり、年を取ってるとは思えないほどの大広間に広がる声を出す。
「さて、騒がしくなる前に言っときたい事嬉しいニュースがある。日本、マホウトコロから留学生が来ておる。留学生は先ほどと同様に組み分け帽子で入る寮を決める」
皆驚きの表情を浮かべ、辺りは静まり返る。
あ、これ私の出番か。どうせなら派手に登場したい。そうですねぇ………。
「さて、マホウトコロの留学生Ms.A・
ダンブルドアがそう言うと、急に扉が開く。
しかし、一向に誰も入ってこない。扉の近くに座っている生徒がジッと扉の方を目をこらそうとすると、誰にでも聞こえるようなコツコツというヒールの音が響き始める。
だが、何の姿も見えない。不思議な現象に戸惑う生徒もいたが何だ何だとワクワクしている生徒もいる。
コツコツという足音が上座に近づくにつれ空いた通路に紅い彼岸花が現れて、咲き始める。大広間の天井はいつの間にか星空と天の川が輝いていて、日本の夏祭りを彷彿させる。
耳を凝らすと少しずつ、祭囃子の音が聞こえてくる。その音共に留学生の姿が徐々に現れていく。
ホグワーツの生徒は見たことがない者が多いであろう、白と紅で作られた不思議な衣装。顔には、狐のような面をつけており表情も瞳の色さえも捉えることができない。
しかしどこか幻想的だった。
その留学生が組み分け帽子が置かれているスツールの少し前に立ち、手のひらを２回叩く。するとその幻想的な空間は一気に消えて一人の女生徒が現れた。
黒曜のような黒髪に、臙脂色の瞳を持つ少女は。
「ご紹介に預かりました。マホウトコロからの留学生、鬼一 Aと申します。これからよろしくお願いします。」
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