隣の席の田中くん ページ10
いつもだったら絶対に寝てる地理の授業を
しっかり聞いちゃってるのは、後ろに先輩がいるからで。
「ここの土壌はチェルノーゼムって言って,,,」
このクラス、3-8副担任の川野先生は地理担当で
さばさばしたおばちゃん先生。
そして、こーち先輩の実習担当の先生。
最初は真面目に聞いてたんだけどね。
「山崎さーん、分かりましたかー？」
あれ、寝ちゃってた。
おい田中、笑ってるんじゃないよ。
気づいてるなら起こしなさいよ。
そう思いながら後ろを振り向くと
笑いを堪えた先輩の姿。
こっちを見て口パクで
“がんばれ”
と伝えてきた。
嬉しいけどめちゃめちゃ恥ずかしい。
絶対私、今真っ赤だ。
｢山崎ちゃん爆睡だったな、最高だわ」
授業終わりに話しかけてきた田中くん。
いつも寝てるじゃんと返せば
「俺が授業で寝るわけないじゃん、真面目だもん」
とドヤ顔。
嘘だ。今日地理以外しっかり寝てたの見たんだからね。
｢じゃあ真面目くんは今度から起こさなくていいんだね
ほくちゃんに寝てるのバレて難しい問題出されても
助け舟出さなくていいってことだ、よかったよかった｣
そう言ってロッカーに荷物を片付けに行こうとすると
ごめんごめん嘘だって！ね？許して！と言いながら追いかけてきた
でも知ーらない。
あーあー、一緒に勉強しよって言おうと思ったのになー！
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作者名：はりのこ | 作成日時：2022年6月22日 22時
