第五話 ページ7
「やあやあー集まったねー。」
四人が体育館に向かおうとすると、体育館のドアの前で仁王立ちしているAが居た。
その姿を見た松川と花巻はプルプルと震え、笑いを堪えていた。
「なにそのラスボス感!」
及川がそそくさとツッコミを入れると同時に松川と花巻は吹き出した。
岩泉は呆れている目でじっとAを見ているだけだった。
一人それぞれ平常運転だったことに安心したAはニカッと笑い、「早く入ろ!」とみんなの袖を引っ張った。
「うお、体育館さみぃ」
ドアを開けてみると、外と変わらぬ冷気を浴びた花巻は笑いながら両腕を摩る。
ドアの開閉音に気付いた部員達は咄嗟に音の方向を見る。
「やっほー手伝いに来たぞー」
「桐崎先輩!」
引退前のスタメン組だった金田一は嬉しそうにAのところにかけ付いた。
その後から相変わらず眠そうな顔をしている国見。半袖半ズボンを着ている金田一とは逆で長袖長ズボンを着ていた国見を見たAは思わず吹き出した。
「あんたらホント最高。仲良いのに相変わらず体質真逆!」
「桐崎先輩。そんなこと言わないでください……。というか毎日それ当たり前のように言ってくるのはわざとですか。」
「そうだっけ?」
「あ、そうですか。」と国見は諦めたのかこれ以上それについて突っかかる事は無かった。
金田一はこてんと首を傾げる。
和やかな背景の後ろに目の敵にして岩泉を見ている京谷が立っていた。
元々目付きの悪い京谷の鋭い目は岩泉に向けたものだったが、その視線に国見はビクつく。
「岩泉さん……。」
「矢巾。いいんだよ。別に。おーす。京谷。」
その鋭い視線に気付いた矢巾は「後輩ビビらすな!!先輩ガン飛ばすな!」と怒鳴る。
しかし、岩泉はその視線に怯まず何も変わらぬ表情で対応していた。
花巻と松川はその大人な対応にほーぉ。と感心していた。
及川が「狂犬ちゃーん。やっほー」と京谷に言ったが、彼は普通にガン無視して練習に戻っていった。
その対応に矢巾は再び怒鳴り始めた。
二人は苦笑いをし、「やっぱ変わらねえな。」とどこか安心していた。
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作者名:名無し琲世 | 作成日時:2017年7月26日 21時