第四十四話 国見side ページ46
はぁ……ぜっはっ……
やっと少女を振り切った。
運動靴に履き変えとけば良かった。すごく走りにくかった。
あの砂埃が自然と俺達の支えになっていた。
全然目開けれられなかったけど。
何事もあれ助かった。
「金田一……ごめん。いつもの俺らしくなくて。」
ガムシャラなんとかなんとか言ってた俺がこんなにも取り乱してしまうなんて、俺らしくない。あんな全力で走ったのも久しぶりだし。
金田一は「でも。逃げれたぞ。やったな。」と言った瞬間、ガクンと倒れた。
金田一……?
口から血を出し、脇腹を強く掴んでいた。
白い制服に赤い液体が染みを作り、どんどん侵食していってる。
「金田一?!」
止まらない血がポタポタと地面に落ちる。
あの少女の被弾を被ったのか。
それしか思いつかなかった。
「国見……俺は……ッ大丈夫だか……ら。」
大丈夫じゃねえだろ。
白い制服だから尚更目立つ。搾れるんじゃないかってくらい血が大きく染み付いている。
顔色が段々青くなっていく金田一に対して俺は何をすればいいのか分からない。
とりあえず止血はしなきゃ。
「寒いけど、止めるから。血。」
我慢して。
本当に寒いからこの場でやりたくないけど。
ブレザーとYシャツを脱がせ、鞄に入ってたタオルを傷口に当て、強く結んだ。
くっそ、それしか分かんねえ。
そうだ。スマホ。調べれば……。
スマホを鞄の中から取り出した途端、俺は固まった。
嘘だろ……。
スマホの液晶に映っていたのは俺を見てくる
ーー笑顔を浮かべた少女。
『きらきら。きらきーらと。』
後ろを見ることが出来ない。
寒いのに汗が出る。
せめて金田一だけでも。助かれば……。
金田一の方を見るが、そこに少女が金田一を抱えて立っていた。
『お兄ちゃんのお兄ちゃん。この人。死んじゃうよ。だから。楽にしてあげるね。』
……は?死ぬ訳ない。なんでそんなこと言う。
俺は慌てて少女から金田一を取り戻そうと手を伸ばした瞬間、少女はまた歌い始め、白い光線に包まれる。
眩しくて周りが見えない。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
気が付いた時には金田一も少女も居なくなってた。
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作者名:名無し琲世 | 作成日時:2017年7月26日 21時