【ハイキュー】ハッピーエンドを。【岩泉一】 (ページ45)

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第四十三話国見side ページ45

『きーらきらと。きらきーら。』

ただの歌声っぽいやつじゃん。
歌声っぽいのを出しながら歩いてきた子はとても幼い小学低学年くらいの女の子。
過剰反応起こし過ぎでしょ。金田一。

「金田一過剰反応起こし過ぎ。小さな女の子じゃん。この子。」

「いや、待って……。国見。よく見ろよ……。」

何。この子のどこを見ろと。
金田一も金田一で何か青ざめているし。
金田一が指差した先をよく見てみると、少女の着ていた服に赤いものや赤茶色っぽい斑点状のものが付いていた。

「あれ……血。じゃねえのか？」

……血？再度少女の容姿を見ようと思った瞬間、少女の顔が俺の目の前にはっきりと映り、俺は金田一に強く引っ張られていた。その反動で金田一と一緒に後ろに倒れた。痛い。
一瞬だけど頭に何かがピュっと飛んできて。俺の前髪がそれをギリギリ掠っている。
俺の目に映っていた少女は頬に赤いものを伝わせて不気味に笑っていた。
後ろで大きな轟音が響き渡って思わずビックリした。え、何。すっごいうるさい。
後ろを見てみると、金田一とパラパラと崩れる一軒家が視界に入る。

「……は？」

いや。おかしいでしょ。
なんで血塗れの少女が笑った瞬間一軒家が破壊されるんだ。
思考停止する程に状況が全く追い付かなくて動けずにいたら、少女が笑い声を上げる。

『こんにちは！おにーちゃんのおにーちゃん！！』

平然と話しかけてくる。
いや、落ちつかせてくれ。
頼むから。おかしそうに笑わないでくれ。
俺がおかしくなりそうで壊れる。

『なんでここにいるの？殺しちゃっていいの？』

少女は不思議そうな顔をして首を傾げながらそう聞いてくる。
なんて物騒な聞き方なんだ。殺していい？とか。
金田一はその問いに「いい訳がない。」と言い、俺の腕を掴んで立たされた。

「国見。逃げるぞ。」

その一言で力が抜けてた自身の体に力が入り、少女から背中を向けて走り出した。
冷たい冷気が頬に当たって痛い。
それでも俺達は走る。
勿論の事で少女も追い掛けてきた。……遅いな。
このペースなら逃げ切れるんじゃないか。
その考えは甘過ぎた。

『きーらきらと。きーらきーら。』

少女がまたそう歌い出し、ヒュんヒュんと俺達の周りに沢山の槍状のものが飛んでくる。
その槍状のものが建物に触れる度に激しい轟音が響き渡る。
ガラガラと崩れ、激しい砂埃で視界が段々奪われる。
くそ。まともに目が開けられない。