【ハイキュー】ハッピーエンドを。【岩泉一】 (ページ29)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:31,046 hit

第二十七話岩泉side ページ29

実を言うと、Aを助けたのは俺ではない。
……この事をAに言ってもいいのだろうか。
少女の攻撃の後にあった事を。

ーー

「逃げろ！！」

及川がそう言った途端、みんな一斉に各方向へ散らばった。
俺は何も考えず、自我夢中で体育館の方に向かって走り出した。
その瞬間轟音と共に爆風が襲いかかり、俺は吹き飛ばされた。
運が良かったのか、飛ばされた先には畑があった。園芸部用の畑。面積も広かったし、そこの土がクッションになって幸い怪我を負うこともなかった。
土まみれになったけどな。多少の犠牲はあったが、怪我するよりはマシだ。

あの少女が来る前に早くここを離れねえと。
安心してる場合じゃない。青城の時は誰かが少女を消したから襲いかかってくる可能性は無かった。だけど、今回はある。
……逃げるなら体育館か？
いや、鍵がかかってる可能性もあるし、逃げ道が少ないっていうデメリットの方が大きすぎる。
じゃあ、校舎か。
恐らく下駄箱からは壊れて入れない。となると、体育館に続く道に入り口があるはず。
周りを見ながら急いで体育館側の校舎への入り口に向かう。

ーー

ビンゴ。やっぱりドアは開いてた。
すんなりと中に入ることが出来たが、一階の廊下は下駄箱の破壊によって封じられていて、二階に続く階段しか無かった。
……Aは何処に行った？
下駄箱で星翔の靴箱探してたんだよな。
大量に包まれた瓦礫に恐る恐る近づく。そこの瓦礫の下に白い布が見えた。
……嫌な予感しかしない。あの大量の瓦礫の中にいる訳……無いよな？

「お、おい……。A。」

その白い布に触れようとした途端、顔の横に長い棒がにゅっと出て来る。
その長い棒はその白い布に向けて何かを放射していた。
小さな爆発が起こり、その白い布全てが燃え尽きた。

「……しぶとい奴。」

長い棒ーー銃のようなものを持ってた人が立っていた。
その人は面倒くさそうに舌打ちをする。
声からして……男か？
いや、背も少し高い。マントを着てて体の体型ははっきりと見えないけど、がっしりしている。
顔にはお面を付けている

ーー誰だこの人。