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第十一話 ページ13

「……?」

「どうした?A。」

昼ご飯の時にやっと魔法陣に関する興奮が収まったAは不思議そうに南の方向を見ていた。
その様子に気付いた花巻は「どうした?」と声をかける。
その場にいた高三組も花巻の呼びかけに気付いてAの方に顔を向けた。

「いや……なんか空が光ってるなって。」

「光ってる?どこら辺?」

「東京の方面。なんかピンクとか、水色とか……」

Aはほら。と空の方を指差した。
松川と花巻は目を細め、じーっと見るが、ぼやぼやとしたような物しか見えなかった。

「よく見えねーな。」

「いや、はっきりと見えるよ。いっちゃん。とーるも見てみてよ。」

岩泉はAの言われるままに空を見上げた。
岩泉は松川と花巻のように目を細めないでじっとガン見していた。

「はっきりと見えるな。なんだあれ。」

「ね?見えるでしょ。いっちゃん。」

及川も牛乳パンを頬張りながらんー?とAが指差した先を見る。

「んー、空が裂けてるようにしか見えないね。」

「なんだそりゃ!」

花巻は及川の回答にゲラゲラと笑い出した。
笑い出す花巻に対して及川は「ちょっと!笑わないでよ!」と突っ込む。
その時放送が流れた。

「……何の放送?」

リズムのいい音が流れると共に放送委員の声が流れる。

『緊急事態です。この放送を聞いたら直ちに体育館に集まって下さい。繰り返します。ーー』

再びリズムのいい音が流れ、プツンと途切れた。
その放送にシンと静まり返る。
全く状況が掴めなかった五人は固まるだけだった。

「……行くべや。」

その沈黙を破ったのは岩泉だった。
岩泉の一声で我に返った四人は返事をし、慌ただしく昼ご飯をビニール袋に入れてその場を去った。

(……あれ?あの魔法陣。段々近くなってる?)

Aがドアを閉めようとした時チラリと見えた景色は魔法陣が段々はっきりと見えてきた。

それだけだったーー

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作者名:名無し琲世 | 作成日時:2017年7月26日 21時

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