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第九話 ページ11

「あ、そーだ。星翔。」

一緒に歩いている途中でAは何かを閃いたように右手を左手の上にポンと乗せた。
呼ばれた星翔はん?と首を傾げた。

「今日の夜暇でしょ?」

星翔は小さく首を縦に振った。

「あの魔法陣のやつ一緒に調べない?」

そう言った途端、星翔はぱぁっと嬉しそうに目を輝かせていた。
首を縦に振って全力で肯定していた。

「じゃあ、約束ねー。」

二人は指切りげんまんをし、約束を誓った。
Aはその時「きらきらと。きらきら。」と独り言を呟き始めた。

「お姉さんってさ、それよく言うよね。」

Aは微笑み、「言うだけでも、歌うだけでも落ち着くんだ。気持ちが。」と話した。
星翔はふーん。と言いつつ表情は柔らかかった。
そんな楽しそうな会話をしながら歩いているうちに、後ろから誰かが近付いてきた。

「A。星翔。」

姉弟二人はその声に反応し一斉に後ろに振り返った。
黒髪に短髪が特徴の青年。岩泉一だった。

「おはよー。いっちゃん。」

「……おはよう。一兄ちゃん。」

Aは笑顔で挨拶するが、星翔は少し表情が硬かった。
冬なのに厚着をしているAや星翔と違って相変わらず冬服のみで着ていた岩泉。
星翔はそれを見、少し寒そうに自分が着ていたコートのチャックを閉めた。

「ねーねー。見た?東京に現れた魔法陣!」

岩泉はコクリと小さく首を縦に振った。

「おう。見たべや。」

「あれすっごい綺麗だったよねー。肉眼で見たかった。」

「肉眼は流石に目が痛くなるべや……。すっげえ眩しいと思うぞ。」

興奮気味のAを抑えて手のひらを横に振る。
客観的な話をされ、Aは難しい顔をする。

「星翔といい、いっちゃんといい、客観的な話ばっかりするねえ……。」

岩泉は苦笑いし、「悪かったな。」と自分の頭を掻いた。
星翔は困った顔をし、少し俯いた。

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作者名:名無し琲世 | 作成日時:2017年7月26日 21時

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