臆病なあの子に近づきたい【あんスタ】

近づきたい47 ページ48

あ....あれ...?




...僕...何してたんだっけ......






.....あっ...そ、そうだ!あの怖い人から逃げようとして....






レオ「....あ、起きた。」




A「......え」




真緒「んなっ.....何してるんですか!!?」




レオ「うぉっ!!?」






はっきりとしてきた意識に目をそっと開ければ、.......だ、誰...!!?...




咄嗟に布団を被って後ずさりをすると、壁が背中に当たる




....今目の前で、....い、衣更くん...?とオレンジ髪の人が揉めてる






な、何...怖い...!.....何で僕はここに居るの...!?









........やっぱり、怖い







A「......さ、さよなら...」





こっそりとベッドから降りて、壁伝いに出口へと進む




「さよなら」と小さく口にしながらドアに手をかけると、





オレンジ髪の人が僕に振り向いた






咄嗟に走り出そうとしたものの、腕を掴まれてしまう






...全身に鳥肌が立ちそうな勢いだった





くるりと後ろを向かせられると、肩を掴まれて壁に押し付けられる





切れ長の緑色の瞳が、鋭く光って、情けない表情の僕を映す






何か言いかけた唇は閉じ、再び開く




一瞬焦ったように揺れた瞳と共に、僕の肩を掴む手に力が入った






レオ「........逃げないで」





A「......!...」







今かけられている威圧に反して、とても優しい声だった





.....少し悲しそうで.....謝るような、そんな声





逃げないで、...なんて言われ、たって.....









僕はもう動けないのに






真緒「ちょっと!...これ以上遊馬に近づかないでくれませんか。...何言ってんだって話かもしれないっすけど、



...怖がらせないでください」





レオ「....お前のじゃない。今はおれと話してるんだ。」





真緒「だからって、こんな事したら怯えるに決まってんだろ!?」





A「...っ.....!」





ギラギラと濁りを含んだ鋭い視線と、温度の違う怒りを込めた声




.......知ってる...






ずっと、この目と、この声






.......ずっと、僕に向けられてきた...








怖い人の顔。







A「...っ.....ご、ごめんなさい。ごめんなさい.....お願い、だから.....離してください」





つむぎ先輩の言ってた人、ちゃんと見つけられたはずなのに





.......臆病者の僕は、真っ直ぐ前に進めない






気づいた時には、目の前の人を突き飛ばして、保健室を出て走り出した









レオ「......」





真緒「....また、振り出しに戻る....のか」

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