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誘惑王子52 ページ5

A「......綺麗...」





風の吹く屋上で、身体が冷えないようにと上着をかけてあげる




オレンジ色の光に照らされて、不意に呟いた







少し力をかけたら、崩れしまいそう





小さな子どもは、愛して抱きしめて、汚れないように包み込んで守ってあげなければいけない







...俺の小さい時は幸せだったのかな







両親が居て、妹が生まれて、...







みんなと一緒に遊んで、笑っていたんだっけ








「...んぅ.......」





A「!......。」







そう思い出しても、小さな俺は幸せそうな寝顔をしてる






...そうだね








A「......今は、







きっと、幸せだね。」







大好きな子たちが、笑ってくれている日々






愛を受けて、愛を伝えて








心の奥で泣いている、小さな自分に気づいてあげられたんだ








A「おやすみ。...」




「...」







静かに寝息をたてるこの子に告げて、暮れなずむ陽の中で目を閉じる






意識はすぐに遠のいて、目が覚めたのは冷たい風と揺さぶられる感覚






目を開ければ、あの子は居なくなっていて







膝にかけられたブレザーには、まだぬくもりが残っていた







泉「ちょっと...!風邪引くでしょぉ!?こんなところで寝てるなんて...」





A「...うん。.......おはよ、泉」







怒った顔の彼を抱き寄せて、頬に口づけた







泉「はいはい、おはよ......なっ...え、ちょっと...!?」





A「可愛いね、唇にはしてないのに。......風は冷たいのに、泉のほっぺは温かいね...♪」






親指で唇をなぞると、ぶわって真っ赤になっちゃった






あまりにも可愛い反応をするから、「ごめんね」と告げて抱きしめた








...ねぇ、やっぱり







......俺は今、幸せだよ。








A「好き。......大好きだよ」







小さく呟いた声は、柔らかな風に溶けて消えてしまった







.









________
番外編
―幼児化したAが現れた!!―終

次回から通常に戻ります。何も考えないで読んでいただけましたでしょうか。
ツッコんではいけません、番外編でs((

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作者名:朝凪世一! | 作成日時:2020年5月1日 15時

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