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誘惑王子53 ページ6

A「ん...っ...ふわぁあ...」





ベッドの上で目を覚ますと、お腹のあたりがさむい



...というか、そもそもベッドのぎりぎり。現に右脚は外に出てるし...布団もかかってない





A「......本当だったんだ...」






みんなに見られてしまったあの動画




寝相がすごく悪いのって、風邪引いてたからじゃなかったんだね...





どうやったら治るのかな。...なんて素朴な疑問を胸に、学院に行く準備を始めた







.







少しだけ早く家を出て、いつも見る野良猫を探した




...やっぱり、時間が違うと会えないのかな







少し寂しくなって、猫がいないか周りを見ながらゆっくり歩いていた






......あ、寝相が悪くならない方法...







思考を巡らせて歩いていると、後ろから近づいてくる足音に気づいた





振り返る間もなく手を掴んで、頭に手を置いた







A「よしよし......ダメだよ。そんなに足音たてたら、すぐバレちゃう」





なずな「うぐっ......Aちん、この時間に居るの珍しかったから...」







だからといって、驚かそうなんてダメ。





なんて、後ろから目隠しをしたことがある俺には言う資格ないけどね......♪






並んで歩いてると...こつん、と僅かに触れた手にびっくりしたなずなくん






手を後ろに隠そうとしたから、立ち止まってみた







なずな「Aちん...?」





A「...ねぇ。手、繋がないの...?」







恥ずかしそうに戸惑うのが可愛いくて、返事を聞く前に手を取る





指を絡めたら、びっくりして顔を見上げたね








A「...うん?......手、こんなふうに繋ぐの...いやだ?」






なずな「〜っ!......い、いやじゃ...ない」






A「うん。...ちゃんと言えてえらいえらい...♪

...じゃぁ、行こっか?」








少し早い時間の、ちょっとだけ静かな通学路






隣を歩く彼は、指がぴくっとしたり、こっちを横目で見ていたり







ぜーんぶ気づいてるのにね。...可愛いなぁ...♪








A「あ、...猫...!」






なずな「!?え、あ...本当だ。Aちん、猫好きなのか?」





A「...うん。毎朝会わないと、寂しくなっちゃうくらいにはね...」







「おはよ...♪」と挨拶をして、ふわふわな毛の上から顎の下を撫でると、ごろごろと喉を鳴らす





少しだけ撫でてなずなくんの方に振り返ると、何故か優しく笑ってる





自然と伸びた指で、「おまたせ」と顎の下を撫でたら怒られちゃった。






A「ダメ...?」





なずな「だっ...!...っダメ!!」

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作者名:朝凪世一! | 作成日時:2020年5月1日 15時

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