誘惑王子59 ページ12
零「っ......A、」
A「はい、終わり。......どうしたの?物足りなかったかな...?」
何かに気がつくと、すぅ...と目の色を変えて普段のAになった
顎の下を撫でていた細く長い指が離れる
「ばいばい」と告げて、ドアの方へと歩いて行った
A「.......覗き見なんて、お行儀が悪いよ?
...ふふ...♪
...、手伝ってあげるから、おいで?」
あんず「えっあっあああ、はひっ...」
流れる様に資料の山を取られ、手を差し出される
その手を取ると、「ちっちゃいね...♪」なんて幼女スマイルを向けられる
天然だったり女王様になったり幼女になったり...
何なんだこの『誘惑王子』は...!!!?
.
零「......」
普段とは違う雰囲気を纏っていた彼
...少しからかい、可愛いがってやろうと思っていたの○○う。
『逆らう事は許さない』
そう言われている様な感覚がした
零「...くく...♪......そうか、」
あの子はきっと、『優しくされる』のが苦手なんじゃな
優しく包み込み、愛でることが好きなだけあって、主導権を取られるのは嫌いなようだ
......なら、それに気がつけた時の我輩たちは、
零「...全員で食ってかかればいい。」
誘惑王子に逆らうために、何か起こしてみるのも楽しみじゃのう.......♪
彼の机を指でなぞって、口元が弧を描いた
.
あんず「あ、これで終わりです。...っ書類運んでくれてありがとうございます!なんとお礼をしたら良いか...」
A「うん。どういたしまして。......お礼?」
まさかあの重たい資料を片手で抱えてずっと手を繋がれるとは思わなかった
それに、会う人会う人に早口で弁解して喉がカスカスです...
そういえば、会った人たちみんな複雑な顔してたなぁ...
...やっぱり、みんな誘惑王子に愛されたいんだ。
うっとりした、優しくて甘いあの愛おしそうな視線を独り占めしたいんだね
.......だから私は、
みんなの背中を押して小坂先輩との関係を傍で見守らないと!!!
あわよくば絵にしてしまおう!!!((
ニヤニヤと口角が上がるのを手を隠して小坂先輩の返答を待つ
うーん...と聞こえた次の言葉は、意外なもので...
A「じゃぁ、いっぱい質問して良いかな...?」
あんず「...質問?」
尋問の間違いでは?
凛月「.......ふぅん。」
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作者名：朝凪世一! | 作成日時：2020年5月1日 15時
