Rose campion 1 (ページ9)

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「もしもーし、駐車場ついたでー」

スーツケースを片手にスマホをとりだし、
大毅に電話をかけた。

「おう！右や右！」

言われた方向を見ると、大毅が運転席からニコニコしてこっちに手を振っていた。

私は、スマホを持ったまま手を上げ軽く手を振り
そちらの方向へ向かった。

同時に大毅も運転席から降りて、
私の手からヒョイっとスーツケースを奪った。

「よお、年末ぶりやな。久々に顔見た気いするわ」

「せやね。大毅の顔はもう見飽きたわ」

「大いに活躍させてもろてますう〜まいどおおきに」

あははと顔を見合わせて笑った。

「どうぞ、姫。」

大毅はそう言ってふざけながら助手席のドアを開けた。

「あー、、私は後部座席のるわ。念のため。」

「ほうか、徹底してはりますなー。さすが出版社勤務」

そう言って、助手席のドアを閉め後部座席のドアを開けてくれた。ありがとうと言って後部座席に乗り込んだ。

私より数倍は高いお給料をもらっているであろうに、
大毅の愛車はずっと軽自動車。

本人は税金対策や！なんておちゃらけながら言うけど、
芸能人になっても調子に乗らず堅実なところが大毅らしいとも思う。

大毅は、私のスーツケースを後ろのトランクに載せて、
運転席に乗り込んだ。

「ところでA、どこ住むん？俺そっから知らんのやけど。」

後ろに身を乗り出しながら大毅は聞いてきた。

私はスマホ取り出し、メモった住所を大毅に差し出した。

「ここなんやけど、、」

「東京都世田谷区、、、って、まじ？ここ俺んちからめちゃくちゃ近いで？」

「そうなん？大毅はてっきり港区にでも住んでんのかと思ったわ。」

大毅が上京してからは、大阪や地元で会ったことしかなく、
東京で会うことも家の場所もまったく知らなかった。

「あほ！そんなとこ住むのは坊ちゃん淳太だけやわ。もう荷解きとかは済んどるん？」

「いや、荷物届くの明日の午前中なんよ。今、まだ家空っぽや」

異動は2週間前に決まったため、家は会社が借り上げているマンションに住めることになったけど、仕事の引継ぎでバタバタしてて、今日と明日しか休みは取れなかった。

「は？そんなん？そんなら今日俺んち来いや。Aまだ来たことなかったやろ」