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翌日、きっちり家出る時に連絡くれて
あっという間に北山さんが
マンションの下まで車で迎えに来た。
「あの、北山さん…?」
「何だよ、」
シートベルトを締めつつチラッと横に視線をやれば
前髪を下ろした休日モードの先輩が隣に居て。
「今から行くのって…」
謎の緊張感が押し寄せる中、"念の為" 確認したら
前に話してたショッピングビルの名前を挙げた北山さん。
「お前が行きたいっつってたじゃん。」
忘れたか?って
ケロッとした顔で答えてる。
…そうですよね!?
「か、確認しただけです!」
「何の確認だよ、」
俺の家来い、なんて
やっぱ私の思い違い…?
ホッと一安心してたら
「何さっきからソワソワしてんの?」
「…え。///」
ハンドルを握ろうとしてた手を膝の上に戻して
私をじーっと見てくる北山さん。
お、っと……?
焦りと不安で、つい視線が泳ぎがちになってたら
「…この前のこと気にしてんなら、別にいーから。」
「えっ…」
急な言葉に、思わず反応しちゃった私。
この前のことって
あの…飲み会の日の話だよね?
いつ話そうか悩んでたことを口にされて
ドキン、って心臓が跳ねたけど
「佐藤が今ここにいるってだけで
もう前の話はどーでもいいってこと。」
「…?」
返ってきた言葉に思わず顔を上げた。
私を見つめる北山さん、
普段と何ら変わりなくて。
「ほら…藤ヶ谷のこと心配になる気持ちもわかるしな。」
「北山さん…」
「だから、別に何も言うつもりねーよ。」
そう言って、ニヤって笑うの。
これは北山さんなりの優しさなんだって
考えなくても伝わってくる。
「っし、じゃあ出発すんぞ〜」
「……っ//」
気持ちを自覚した時と同じ
胸がぎゅ、って心地よく痛む。
今日は謝ろうと思ってたけど
きっと今言わないといけないのは…
「…ありがとうございます。…で合ってますか?」
「ん。合ってるよ。」
前向いたまま目尻に皺を寄せた北山さんの声が、
車内に流れてる香りが、凄く甘い。
「そういや前にお前ん家来た時は土砂降りだったな」
「そうでしたね(笑)」
珍しく何の言い合いも起こらない会話。
どこか落ち着く空間。
好きだな……なんて考えて。
自分のマンションに何となく目を向けられないまま、
その理由も分からないまま、
車が動き出した。
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Hana.(プロフ) - hikasanさん» hikasanさん初めまして!お読み頂きありがとうございます(^_^)/! 北山さん派なのですね!!!完結まで明言は出来ないのですが、北山さんへの応援の気持ちをしっかり受け止めて書かせて頂きますね^^ ぜひまたコメントお待ちしております! (2021年1月26日 22時) (レス) id: 0fb7ae82d8 (このIDを非表示/違反報告)
hikasan(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます北山くん落ち希望です、更新楽しみにしてます!! (2021年1月8日 22時) (レス) id: 04d1eab68a (このIDを非表示/違反報告)
Hana.(プロフ) - なっちゃんさん» なっちゃんさん、あけましておめでとうございます〜!長らく空いてしまったにも関わらず、こうしてコメント頂けること、本当にありがとうございます(><) こちらこそいつも本当に感謝感謝です…!ここから完結まで、また見守って頂けたら嬉しいです(^_^) (2021年1月4日 22時) (レス) id: 0fb7ae82d8 (このIDを非表示/違反報告)
Hana.(プロフ) - ぽむさん» ぽむさん、ご無沙汰してます!そして、あけましておめでとうございます!久々の更新となってしまい本当に申し訳ないのですが、とても温かいお言葉、ありがたい限りです(;_;)いつもとっても励まされてます(;_;)今後もぜひぜひよろしくお願いします…! (2021年1月4日 22時) (レス) id: 0fb7ae82d8 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - あけましておめでとうございます。そして、おかえりなさい。また、主人公ちゃんと藤ヶ谷さんと北山さんに会えるのかと思うと、とてもうれしいですー!ご自分のペースで楽しみながら書いてくださいねー。いつもドキドキとキュンをありがとうございます! (2021年1月3日 10時) (レス) id: 14913c4d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Hana. | 作成日時:2020年8月15日 23時