Honey Citrus ５

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「はぁ……っ、」




お手洗いのドアを閉めて、零れた深い溜め息。





北山さんのペースに、すぐ呑まれるようになってきちゃってる…





ようやく一人になったおかげで

さっきまでぼんやりしてた頭もだいぶマシになってきて。







「何でこうなったの…」





北山さん、私が返事に詰まったの気付いてたよね？





なのに今からまだ一緒にいてくれる、ってことは


私のことまだ…好きでいてくれてるってこと？





嬉しい気持ちと

複雑な気持ちが半々で。






「もう…なんで言っちゃうかな…」





北山さんにいつ言ったの？



他には何か話したのかな…？






壁にもたれかかって項垂れても

頭に浮かんできた顔はなかなか消えてくれなくて。







『藤ヶ谷は、お前は多分俺のことが好きだってさ、』





北山さんが言ってたのを思い出して

胸がぎゅ…って苦しくなる。







…ん？苦しく？






「…私ばっかり。」





藤ヶ谷さん、今頃みんなと楽しく飲んでるに決まってる。



お店入ってった時だって大歓迎ムードだったし…。




一人で頭ぐるぐるフル回転させて

悩みまくってるのなんて私ばっかだよきっと…







ペチペチ、ってさっきまで北山さんに摘まれてたとこ自分で叩いて。





もう１件…

私はいいけど、北山さん終電ギリギリまで帰らないつもりかな……//





少し不安に感じつつ

鏡の前で軽く化粧直してたら






〜〜〜♪♪




「ぎゃっ！！！」




突然の着信音に、思わず変な声出た…




誰…？


ガサゴソとバッグの中からスマホを取り出せば






「結衣……？

　…もしもし、どうしたの＿＿＿




「ごめん、今どこ！近くいる！？」





電話に出た瞬間、何だか慌ててる結衣の声。







「え、結衣たちがいるお店からそんな遠くないけど…」




答えたら、良かった〜って安心したような声が聞こえてきて。






「北山さんとまだ一緒？早めに来れたりする？

　藤ヶ谷さん迎えに来て欲しくて…！お願い！」



「えっ……？」





藤ヶ谷、さん…？



連れてく、って…？





スマホを握る手に何となく力が入る私。







「え、結衣…藤ヶ谷さんが何……っ、」



状況がよく分からなくて、更に聞こうとしたら







「山本さん…それA…？」





電話の向こうで、藤ヶ谷さんの声。



え、なんか…






「……もしもし、A…？」



「ふ、藤ヶ谷さん…」






だいぶ、酔ってますか？





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