Honey Citrus ５

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自分の口が止まっちゃったと同時に

視界に入った手元のグラス。






…もう一緒にワイン、飲めなくなっちゃう？









「随分言いにくそうじゃん、」



「そ、そういうワケじゃないんですけど……っ、」





ヤバい、


せっかく言えそうだったのに…！





慌てる私を他所に

グラスの残りを煽った北山さんが距離を詰めてきて






「さっきから目泳いでんだよお前は、」



「わ……っ！は、離ひてくらはい…！！」



「ったく、言えねーなら無理して返事しようとすんな」





ばか、って言われて、

頬っぺた左右に引っ張られて。





待ってこれ


全然そういう雰囲気じゃない！！よね！！？？








「無理してないです……っ、」


「強がんな。」





ようやく解放されても

北山さんちょっとおこ…




どうしよ、この空気にしたの私だ…





藤ヶ谷さんが頭に浮かんじゃって

言い出せなくなったなんて……っ、、





焦って、カウンターの上で自分の手握りしめたまま

何も言えずに下向いてたら







「…あの時、俺がお前に告った時とは状況が違うから、言えねーんだろ？」



「えっ…」






落ち着いたトーンで、突然言われた言葉。



今、なんて…？






弾かれるようにして顔を上げたら





「俺知ってんだよ、」



「何を…ですか……？」



「藤ヶ谷から言われてんの、

　お前のことが好きで、それ伝えたって。」





え…




なんでタイミング被るかね〜なんて

頬杖ついてわざとらしく溜め息つく北山さんの顔、


ボーッと見つめたまま固まっちゃって。






え、

知ってたの…？



いつから…？




色んなことが頭を駆け巡って……







「すみません…、隠してたワケじゃなくて……っ、」




謝ろうとしたら、


わかってる、って言って

震える私の手に、北山さんのが重ねられて。








「藤ヶ谷は、お前は多分俺のことが好きだってさ、」



「えっ…//」





フッて笑って、試すように私の顔を覗き込む北山さん。







「ま、それはお前の口からまたいつか聞くとして…」


「……っ、//」




ツツ…って私の指をわざとなぞる仕草が

もの凄く色っぽくて


また初めて見る北山さんの一面みたい。






「今日はもう１件、付き合って貰えますか？」



「…わ、わかりました///」






拒否権なんて、今の私には無いよね？





満足そうに口角を上げる北山さんを後に

一旦お手洗いに行くと言って席を立った私。

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