Honey Citrus ５

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「ホントに出てきちゃって良かったんですか…？」



「一人二人居なくなってもどうってことねーよ、」






隣でグラスを傾ける北山さんに聞いても

本人は気にしてないみたいで。





皆がいるお店から、駅を挟んで反対側の

北山さんと何度か来たことのあるバーに来たけど…






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『あれ、Aと…北山さん？』



『お、山本さん。ちょっとこいつ借りてくわ。』



『結衣…っ！』





北山さんにほぼ強引に手引かれてお店から出てくとこに

丁度電話を済ませた結衣と遭遇して。






もう北山さんはどうにもならないと思って


急いでジェスチャーで結衣に「しーっ！」ってやっといたけど…






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＞みんなには黙ってて！藤ヶ谷さんとか！(_ _)






だいぶ前に送ったけど

全く既読の付く気配が無い…。




すぐ戻るなんて言っちゃった以上、

勝手に出てきちゃったことに今さら罪悪感が…







「昼間言ってた仕事、結局全部終わったか？」



「えっ？…あぁ、もちろんです！

　バッチリ終わらせて来ました…！」



「ふ〜ん、」






不意に聞かれて、慌ててスマホから顔を上げたら

なんか北山さんこっち見てて。







「な、なんで笑うんですか…」



「んー？ いや、しっかりやってんだなーって。」






それは…褒められてる…の？



その横顔を思わずじーっと見つめちゃう。







「…北山さんにしごかれてきた分、

　しっかり仕事やってますよ？私、」



「あっそ。んじゃ俺に感謝しなきゃだな？」



「自分で言わないでください…、」





私の反応見て

冗談だし、って目細めて笑ってきて。





さっきからその目が私の方に向けられてるって分かっただけで

胸の奥が反応する…







…でも。






「次何飲む？」



「北山さんと同じのでいいです…」



「わかった、」





普段通りの北山さんが

何を考えてるのか全く読めない。





ホントにただ…私とお酒飲みたかっただけ？



さっきから淡々と交わされる会話に

違和感が拭えなくて。





まぁ、まだ返事出来てない私が

何言ってるの、って感じではあるけど…。







また新しいグラスが到着したから

二人で乾杯し直して。






＿＿＿赤ワインベースのカクテル。






『これ気に入ってくれた？俺のお気に入りなんだ、』



「……っ、」






美味しいよね、って笑うワイン好きのお隣さんの顔が頭をよぎって


胸がザワつく感覚。





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