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「何も聞いてなかったんスけど!?」
「言ってなかったからな」
「女の子やあー!! めっちゃ可愛いー!!!」
「…? どうも」
ザワザワと騒がしい生徒らの質問に、私と相澤先生の2人が適当に答える。
耳を塞ぎながらも首を傾げてお礼を言うと
この教室内では数少ない女子生徒らが、「きゃー!!」と頬を押さえて騒ぎ立てた。
……なんなんだ このクラスは
「美潮、軽く自己紹介してやれ」
担任の あくびと共に吐かれた台詞。
貴方から紹介してくれないものか、と思ったりもしたが担任様の命令に逆らう訳にもいかない。
「あー、はい」
ぶっきらぼうに返事をして
多くの目が光るそちらを向いて、息を吸った。
「美潮 Aです」
その瞬間 "がんばれ" とでも言うかのように
温かい風が肌をかすめて、私の頬は自然とあがった。
「… どうぞよろしく 」
それはそれは、タイミング良く
柔らかい笑顔を作れたのではないだろうか。
乏しい自分の表情筋にも 今ばかりは拍手をしたい気分だった。
… なのに、生徒らからは何の反応も返ってこない。
騒ぐのは今だろう 馬鹿なのか。
「… かっ、わい」
そう、言ったのは誰だろう
「相澤先生!!! 美潮ちゃん俺の隣の席でいいスか!?」
「ずるいですわ上鳴さん!」
「えー、俺ん隣おいでよ〜」
「私も近くの席がいいなあー!」
ただ、それを皮切りに
皆が口々にそう言いだしたのだ。
本来この熱烈な歓迎を喜ぶべき所なのだろうが
担任のうざったそうな顔を見れば、素直に喜んでもいられない。
「面倒くせえ、15分やるからお前らで好きに席替えしろ」
シッシッ、と手を払った先生はそれだけ言って
ごそごそと持ち出した寝袋にくるまってしまった。
「やったー!! ヤオモモくじ引き作ってー!!」
「お安い御用ですわぁ!!」
勝手に盛り上がるクラスメイト達をよそに
私は寝袋に包まる先生の隣に、ただボーッと突っ立っているしかなかった。
「…席なんてどこでもいいんだけどなあ」
《 誰も聞いちゃあいないけど 》
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キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時