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野蛮そうで、脆くて、どこか儚げな瞳を持った少年
彼は ザッと踵を返し
海から離れるように また走り出してしまった。
私はそれを見届けるようにしながら、ズキズキと鳴る心臓を押さえつけた。
「いたい、あつい」
ざぶん !
と、大きな音を立てて水の中へ身を隠す。
それでも身体は火照ったままで、熱は逃げない。
心臓を押さえ固まったままの私を心配するかのように
魚たちが集まってくる。
「…大丈夫、平気よ 」
私は1つ笑みを浮かべて
自身に起こるこの不可思議な現象は気のせいだ、と言い聞かせるように、陸へあがった。
チクチクした痛みを伴いながら
私の尾びれは 人間のモノへと形を戻す。
現在 午前6:42
「また明日、同じ時間に来るわ」
穏やかな波に話しかけながら
脱ぎ捨てていた服を着て、私は帰路を辿った。
先ほど言った "一大イベント" に向けて用意をしなければならないのだ。
.
.
.
パリッと乾いた白いシャツ
堅苦しいネクタイとブレザーに身を包んだ少女は
この時期に似合わない"転校生" 。
そう "一大イベント"と言うのはこの事だったのだ。
今日の主役はきっと彼女以外にいない
の、だが
「ふむ、迷った」
人差し指を口元に当てて 首をかしげて考える。
___何処だここは、と
先日、学校側に貰っていた地図も
彼女には解読不可能で 意味を成さない。
「ねえ風さん、雄英高校ってどこかしら」
びりびりに破いたその地図を ふわり、空へと投げながら
朝、海に話しかけた時と同様に
少女は風にも問いかけた。
すると姿のないその相手は 応えるかのように
破れた地図の破片をびゅうっと操って、一方向へと飛んでゆく。
「ありがとう、助かるわ」
微笑んで 疑うこともなくソレに着いて行く。
現在の時刻は
もう既に 彼女の遅刻を決定させていた。
《主役は遅れてやって来る ?》
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キリ - 美潮ちゃんの見た目聞くとアリ○ル見たいですけど似せたんですか?とっても面白いです (2018年1月7日 5時) (レス) id: e989008aff (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - アカネ先輩さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!! ぜひ読みに行かせて頂きますね◎○続編になりますが、そちらで更新頑張りますのでお付き合いくだされば嬉しいです ありがとうございます! (2017年5月21日 21時) (レス) id: ca90c69f0b (このIDを非表示/違反報告)
アカネ先輩(プロフ) - めっちゃ面白い…タイトルに惹かれて一気に読みました!作者さんの書くかっちゃんがかっこいいです!私もかっちゃんと轟くんの短編書いているのでよかったらみにきてください!更新楽しみにしてます(´˘`*) (2017年5月21日 2時) (レス) id: ad572bf5b5 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - みいるさん» すごくすごく嬉しいです!!!もっと楽しんで頂けるように頑張ります、シリアス回続きますが根気強くお付き合いください…(泣)ありがとうございます!◎○ (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
西垣(プロフ) - るるるさん» ひえええ(泣)恐れ多い…ありがとうございます…頑張ります…(泣) (2017年5月19日 22時) (レス) id: e58a020c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西垣 | 作成日時:2017年4月16日 22時