シャララタンバリン【S.K】

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『シゲくんに似てるから欲しくって。
シゲくんの帰りが遅い時とか…』


だから子供か！！

まぁほかの人に寂しさ紛らわせてもらうより
ぬいぐるみで済むならそれ以上のことはない。


「じゃあジュースナシな」


『買ってくれるの？』


目をキラッキラと輝かせて
身を乗り出して来るからかわいい。



Aが異動した広報部は
基本的には残業がない。

その分俺のいる企画部は
完全に金曜日は残業だし
その他も遅くなる日はある。


『そうと決まったら早く食べなきゃ！』

と残りのラーメンを一生懸命啜っている。

「は？ゆっくり食わせろよ」


『誰かに買われちゃうかもしれない』


あんなぬいぐるみお前くらいだろ
って思いながらもそれに付き合ってしまう俺は
それはもう優しい優しい彼氏だろ。


『ありがとう』


無事、誰にも買われずにぬいぐるみを購入し
袋はいらないとそのまま抱っこして
歩いている25歳独身(笑)

＿＿完全にバカップルだよなぁ
まわりからみたら。

知り合いにどうか会いませんようにと
本来のお目当てのパジャマとマグカップを買い
車に戻った。


『ふふ』


ずっとご機嫌のお嬢ちゃん。


『しげちゃん』


「は？」

急に呼び名が変わって驚く。

『違う違うこの子の名前』


「名前付けんのかよ、
しかも紛らわしいからやめろよ」


やめろっつっても
聞かないのはわかってますが一応。


「っつうか、お前ってそんなんなんだな」


3ヶ月付き合ってみて
案外甘えたで、子供っぽいところが
あるのは少しわかってきたけど。

まさか25にもなってぬいぐるみを
抱いているとは…


『引いた？』

引かない。

むしろ山下さんと付き合ってた頃
自分が無理に背伸びしてたから。

この位がちょうどいいかも。


「ベッドに持ち込むなよ」


『なんでよ！』

ベッドは2人だけの基地にしたいから。

よそ者は例え俺代わりの
リスのぬいぐるみでも許しません。


名前が【しげちゃん】であってもだ。

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