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そう言った男が不思議そうに目を細めると、
土方と呼ばれた人は思いきり眉間に皺を寄せ、
苦々しげに深い溜息を吐いたのだった。

歳三「……いちいち余計な事を
喋るんじゃねえよ。
下手な話を聞かせちまうと、
始末せざるを得なくなるだろうが。」

…アレは見てはいけないものだったんだ。

隠しておきたいもの…か。

彼らが嫌がるだろう方向へ
理解を進めてしまう私。

???「この子達を生かしておいても、
厄介事にしかならないと思いますけどね。」

ちらりと私達に目を向けたその人は、
まるで私の心を読んだかのような発言をする。

……余計なことは考えるなってことか。

歳三「兎に角、殺せばいいってもんじゃねぇだろ。…こいつらの処分は、帰ってから決める。」

一「俺は副長の判断に賛成です。
長く留まれば他の人間に見つかるかもしれない。」

…斎藤、だったか。

彼は周囲を見渡しながら移動すべきと
進言した。

ついでのような仕草で、
自らが斬り殺した死体へと目を落とす。

一「こうも血に狂うとは、
実務に使える代物ではありませんね。」

歳三「…頭の痛てぇ話だ。
まさか、ここまで酷いとはな。」

彼は感情の宿らない眼差しを足元に向けた。

そして不意に顔を歪めると、苛立たしげに
他の2人を睨み付けた。

歳三「つーか、お前ら。
土方とか副長とか呼んでんじゃねぇよ。
伏せろ。」

???「えぇー?伏せるも何も、
隊服着てる時点でバレバレだと思いますけど」

浅葱色の羽織を着込んだ隊士。

有名な人斬り集団の話は、
私だって何度も聞いたことがある。

でも…。

千鶴「余計なことは考えない、考えない…。」

色々考えてしまうのは多分、
自分でも気づかないうちに呑まれていたから。

__死体の転がる夜の都で、
ごく普通に会話を続けている彼らの世界に。

一「死体の処理は如何様に?
肉体的な異常は特に現れていないようですが」

声を掛けられた土方と言う人は、
短い思案を挟んだ後に口を開いた。

歳三「羽織だけ脱がせとけ。
…あとは、山崎君が何とかしてくれんだろ。」

一「御意。」

???「隊士が斬り殺されてるなんて
僕たちにとっても一大事ですしね。」

その人は、くすくす笑いながら同意する。

歳三「ま、後は俺らが黙ってりゃ、
世間も勝手に納得してくれんだろうよ。」

…さりげなく圧をかけたな。

…人が死ぬ事くらい、
京の都ではよくある事なのだろう。

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作者名:星空海月  | 作成日時:2021年3月1日 13時

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