【刀剣乱舞】壱を求める話

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『かえ、る………？』







その時。ふっと………Aが初めて刀剣達の顔を見る。
夜明け色の瞳の奥底に、
光が見えたのを長谷部は確信した。








長谷「帰りましょう………
皆が、待ってます。貴方の帰りを」


『カミサマ、が。私を逃して、くれないの。
出れない………道が閉ざされたままなの。
私は、ここから出れない………』


鶴丸「なら出してやろうじゃないか。
きみが帰りたい場所に。
言うんだ！きみは………どこに帰りたいんだ？」



『わ、たし………』







青江「二振りだけで格好つけるのは
ちょっと妬けてしまうね」









そんな彼らの間に、青江がそう呼びかける。
そして、奈落の底へと堕ちかけている
Aの腕を掴む長谷部と鶴丸に手を貸すように、
またAに差し伸べられる。









青江「僕は君にあったばかりで、
君の事をよくは知らない。でも分かるんだよ。
あの本丸には………君が居てくれないと」


『…………！』


青江「君が来てから。あそこは変わった。
変われたのさ。君という存在が………
バラバラになっていた僕らを
纏めてくれるようになったんだ。

帰る場所が無いなら、望めばいい。
委ねなよ？僕らに、さ」









ゆっくり。ゆっくりと………
拒絶反応で引き起こしていた言霊の力が弱まり、
Aの体を絡め取っていた黒い手腕が
ズルリズルリと引き離されて行き、
本当にゆっくりではあるが、刀剣達の手によって
Aの体が軽くなり、引き上げられていく。

もう少し。









『…………、かえ、りたい』









────もう少し。









『帰りたい………。連れて行っ、て。
ここじゃない、場所に────

あの、本丸に………帰りたいよ……』









Aは願う。愛しい場所へ帰ることを。
あの不完全で歪で………そして、
新たに見つけた【唯一無二】の場所へ。

“神様に願う”









『連れて行って………！

神隠しされても、良いっ！！
私が………あの場所に帰りたいっ。

帰りたい………っ赤神本丸にっ』




鶴丸「！───よし、よく言ってくれた。
嗚呼、連れて行ってやるともっ！」


長谷「例え、政府が定めた掟を破ったとしても。
貴方を、これから隠してしまっても。
隠す事で、貴方を救えるならば！！」









神々は口を揃え、
力無き一人の人間の名を口にする。
彼女を脅かすカミから、隠す為に。




彼らは名を縛る。


【A】──と。








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