400pager ページ11
･
歌仙「本当に、方法は………無いのかい」
赤神「…………無理をしない方がいい。
本当に動けなくなるよ」
歌仙「そうは、言ってられない。
探しに行かなくては…………彼女と、約束をしたんだ」
篭手「駄目です、歌仙。そんな体では………」
歌仙「…………あの子は。
誰にも頼れない、生きづらい世界で生きてきた。
その子が、去り際に何と言ったか………」
歌仙はギリギリと、本体の柄を握りしめる。
奥歯を噛み締め、俯いていた。
その小さくなった背中からは、
悔しさと後悔が垣間見える。
歌仙は思い出す。
Aが去る際の言葉。
たった一言。
“見つけて”という言葉を、
何度も脳裏に過ぎらせていた。
歌仙「“助け”を求めてたんだ───っ！
あの子が、僕や………皆に。
誰にも頼れず、頼る勇気がどうしても出ず、
本音が言えないあの子が。
僕らに、助けてと告げたんだ。
あれ程怖がっていた子が、僕らを信じた」
赤神「…………」
歌仙「彼女にとって、神隠しは…………
一番恐れている事だ。
神降しをする事を選ぶ筈がない。
それでも、隠されると分かっていながら、
その術を行う事を選んだのは。
僕らを信じたからだ。
僕には分かる。僕達だって………そうだったからね」
歌仙の言葉に、刀剣達は顔を上げた。
その顔は、何かを決意したようであった。
ふとムエは呆れたように端末から目を離し、振り向く。
ムエ《話しを聞いてなかったのか？
言っておくが、仮にも妖魔にも近いお前達のような
末席の神が太刀打ち出来るような相手じゃない。
お前達に出来る事なんて無いんだよ》
一文「………ならば自力でどうにかするまでさ」
すると一文字則宗が背に身を預けながら告げる。
彼もまたAの刀剣。
歌仙と同じく、足がおぼつかないままだが、
彼はふと笑って見せ、ムエに答える。
一文「僕らの主は彼女だ。守るべき対象だ。
それだけで戦う理由になるだろう？
僕らはそういう存在だ。神なんぞどうでもいいのさ。
人がそう定義しただけで、
僕らは物に宿るだけの物語。
神と言う名が斬れぬ刃とするなら、
神と言う名は捨てるだけだ。
主を危険に晒す者なら、神をも斬るだけだ。
なあ？お前さんもそうだろう？
人に作られたモノであるなら」
ムエ《…………》
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冷泉 雪桜(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» とても心に来る叫び、届きましたー！！いつもありがとうございます。今回は主人公の成長とバラバラになっていた本丸の刀剣達が一つになりつつある描写が書きたかったので、楽しかったですー！ (2021年8月31日 20時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 鶴丸さん滅茶苦茶に体張ってましたね。いやみんなMVPですけれども!（ほんと誰目線なんですかねすみません）でも、腕とか目とかほんとドキドキしっぱなしでした…。なにせ白焔シリーズが……ハハッ。大好きですけどね!白焔シリーズ!!!ふう…。怒濤の長文失礼しましたっ! (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - はい、ほんとうに成長していました…。随分長く見守っていたからか、なんだかもう親のごとく号泣させてもらいました。（おま誰目線や）…詩重ちゃん、ほんとうに良かったねえええ!幸せにね!これからも見守らせてね! (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 冷泉 雪桜さん» はっ、長谷部ええええ!!!!叫んでごめんなさい!!!でもこれは叫んでもいいですか!?なんだかほんのり……あれっ!?思い出しかけてるような……。やはり別個体の神域のなかで、共に別個体の鶴丸と神域仲間の大倶利伽羅がいたからでしょうか…… (2021年8月31日 20時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
冷泉 雪桜(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» 本当は、神隠しが何よりも怖いものなのに、それを承知でやった所がとても彼女の成長を感じますね。 (2021年8月27日 21時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2021年8月16日 11時
