【刀剣乱舞】壱を求める話 弐章

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そこへ、一振りの刀剣男士がやって来る。
大千鳥十文字槍である。








大千「大包平……」

大包「む、お前は大千鳥十文字槍か」

大千「こんな早朝から鍛錬か」

大包「己を鍛えるには丁度いいからな」









大千鳥十文字槍。
彼もまた、戦には行けぬバグを背負う者であった。
赤神本丸に来る経緯としては
とある本丸にて、殺戮事件が起きた。
その原因となってしまったのはこの大千鳥十文字槍である。

彼には強い殺戮衝動があった。
元々、強い力を持っていた大千鳥。
だがいつからか自分を制御出来ない程、
力任せに、無意識にその衝動にかられてしまう。


仲間を殺してしまい、守るべき審神者をも殺しかけた事実。
その事から大千鳥は裁判にかけられ、
刀剣破壊される所に赤神に拾われた事から
この本丸にやって来た。



しかし、大千鳥は元より好戦的な一面がある。
それは槍としての本能。
無闇に殺生をしてはならない、それは人間の考えだが、
人を殺す為の道具である筈の刀剣が、
殺生をしてはならないと言うのは、不条理な話である。

その為に生まれてきた存在である筈が、
そのあり方を否定される。
大千鳥は人間に対して懸念を抱いていた。


上記のように、致命的なバグを背負っている事から、
大千鳥は本体を呼び出せない。
また赤神によって力を削がれ、戦には出れないのだ。









大千「………大包平よ。俺と手合わせをしないか」

大包「！」


大千「無論木刀でだ。俺はあんたとは別の形ではあるが、
出陣を禁じられている身だが、体を動かしたい」


大包「………いいだろう。戦いは相手が居てこそ」








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この本丸には出陣を禁じられ、
戦いに赴くことが出来ない刀剣が居る。









大包「おおぉおおっ！！」

大千「はぁっ！！」






カァンッ！！









しかし彼らは刀剣としての本質を見失ってはいない。
刀としてのあり方。主人を守り、敵を屠る。
それが刀剣の誇りであり、刀剣の生き方。

例え、人に必要とされなくなり、戦いが無い時代となっても。
彼らはいつまでも、人の為にあり続ける。









大千「ﾊｧﾊｧ………俺の勝ちだ」

大包「くっ………」


大千「………いつぶりか。
己が何者かであるか、久々に感じ得る事ができた」


大包「………嗚呼。やはり戦いはいい。
己の存在を確かめられる。そうだろう？」


大千「感謝する、大包平よ」

大包「ふん。次は勝つ」









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