【刀剣乱舞】壱を求める話 弐章

465pager《山姥切と堀川》 ページ37

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赤神本丸には、日が沈むと起き出す者がいる。
和泉守兼定と堀川国広である。








和泉「はよーっす………」

堀川「おはよう兼さん！」

和泉「国広はいつもはえーな………」

堀川「普通だよ。僕もさっき起きたしね」









彼らは夜でしか活動が出来ない。
そうなってしまった経緯は前回にて紹介した為、割愛するが、
堀川は目覚めて、敬愛する和泉守の手伝いが無いと
判断すると、別の刀剣男士達や審神者の手伝いの為に
和泉守と別れる。

ここの堀川国広は、和泉守兼定を
他の本丸同様に敬愛しているが、
もう一振り、彼は敬愛している存在が居る。









堀川「兄弟、居る？」







切国「？兄弟か。嗚呼、居るぞ」









それは赤神本丸初期刀の一振り、山姥切国広である。
堀川は目覚めてすぐ、この初期刀の部屋へと足を運ぶ。
山姥切は初期刀という立場上、多忙な生活を送っている。
そんな彼を手伝う事が、堀川の一日の始まりである。

部屋の主の許可を得た堀川は、
山姥切の部屋へと足を踏み入れた。









切国「………そうか、起きたんだな。おはよう」

堀川「おはよう兄弟。一日お疲れ様」

切国「嗚呼」

堀川「今日はどう？眠れそう？」


切国「そう、だな………恐らく今までの俺は毎度思うだろうが、
眠るのにはやはり抵抗がある。

記憶がリセットされてしまうからな」









山姥切国広は最近、不眠症状が出ていた。
毎度違う記憶を持つ山姥切は、何故眠れないのか
いまいちよく分からないのだが、
眠る事に抵抗を感じていた。

彼は深く眠る度に記憶を失うバグを背負っていた。
元々ここの本丸の刀であった堀川は
初めて山姥切と出会った際、
開口一番に聞かされたのはその事だった。

しかし、山姥切は初期刀であり、
皆をまとめることに長けていた。
例えブラック本丸から来た刀剣男士に対しても、
冷静に、そして敵意を向けられても
その圧倒的な力で今まで制してきた。


そんなここまで本丸を鍛えた彼を、
堀川は兄弟として誇り高く、敬愛しているのだ。


だが、時折見せる山姥切の弱い一面も、
堀川は知っていた。だからこそ、彼を支える為に
こうして毎晩彼の部屋へと自然と来てしまうのである。









堀川「、忘れてしまうのは、嫌だよね」


切国「否定しない。でも俺の代わりに覚えてくれる奴らがいる。
今までの俺は知らないが、今の俺はそう思うぞ」


堀川「……そっか。そろそろ夕食だって」









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