【刀剣乱舞】壱と出会う話４章 (ページ15)

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ｵﾙｺﾞｰﾙ《………遥か昔。
うちの最初の持ち主は小さな人間の少女でした。
誕生日のプレゼントやった。

その頃はまだ意識がはっきりしてなかったんやけど、
………嬉しかったのは覚えとった》

オルゴールは正座に座り直し、
背筋を伸ばした後で語り始めた。

小さな少女の………物語を。

Aside〜end〜
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オルゴールside

「わぁっ！キレー！パパありがとうっ！！」

うちは箱型のオルゴール。
白い箱に、蒼と金の装飾が施されたオルゴール。
とある日本人の手で作り出されたうちは
とある少女の物になった。

その子は何度も何度も、箱の蓋を開けては
演奏を聞いとった。

蓋を開ける度にうちは歌った。
うちが歌えば、彼女は笑った。

それだけやったけど、嬉しかった。

………せやけど、人は勝手やった。

───────────────

「はぁ、売るとすっきりするわね。
邪魔だったから買い取ってくれて助かったわ」

“待って……！！置いていかないでっ！
私まだ歌えるっ！歌えるよっ”

うちは骨董品としては値がつくらしい。
そうと分かった成長したあの子は
直ぐにうちを売った。

一緒に居られるって、思っとった。
うちが幾ら歌っても………綺麗に演奏しても、
去り際のあの子は振り向いてはくれなかった。

それの繰り返しやった。
買われては売られ、買われては売られた。
おかげでうちはボロボロになって、
一番、綺麗に演奏出来ていた所。
得意だったサビの所の音は壊れ………
うちは、歌えんくなった。

流れて、流されて………
持ち主が変わって行って。

やがて………歌えんくらい、
ボロボロになってしもうた。

“声が、出ない。歌えない………”

「ありゃあ………もう駄目だなこりゃ。
壊れている。装飾がいいが、
機能しない骨董品はなぁ。

売れなかったら捨てるしかないな」

“す、てる………？捨てられて、しまうの？”

歌えなくなったうち。
オルゴールとして機能しなくなって、
演奏が出来なくなったうちは………
もう、捨てられるしかない。

アンティークを扱う店主の
“捨てる”と言う単語が恐ろしかった。

これからどうなってしまうんだろ。
もう………誰も、私の声を聞いてはくれないのかな。