†参佰拾陸† ページ27
後悔していたんだ。
なにもしてやれなかったお前に
せめて……………何かを。
僕は弟に抱きついた。
嗚呼お前がいる。隣にお前がいる。
髭切「……………記憶があっても、無くても、辛いね弟」
膝丸「そう、だな」
髭切「でもこれからは、二振りで傷を埋めよう。
僕らは二振りで一つ……………」
膝丸「嗚呼、そうだな兄者……………
もう、離れはしない。
貴方に誓おう、二度と繰り返さぬように」
弟は僕に答えて抱き締め返してくれた。
そうか、弟は彼女が守り通してくれたんだね。
そして今の主が、僕らを再び繋いでくれた。
人の力って凄いね。
短命でありながら、僕らに出来ないことを
成し遂げてくれた…………
ねぇ、主。君はこの本丸を
“大切な場所”と言っていたね。
僕もなんだ。大切なんだ。
時を重ねる事に、大切な物が増えたよ。
だから、約束を守るよ。
僕はこの場所を守って見せよう。
膝丸「お帰り、兄者」
髭切「うん、ただいま」
僕が、守ってみせるよ。
髭切side〜end〜
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
Aside
陸奥「ほうかほうか、記憶が戻ったがかぁ
いんやあ、髭切が倒れたと聞いて焦っちょったが
何事もないようで良かったぜよ」
北谷「
まあ無事だったんなら良かったよー」
髭切「いやぁ、心配かけたねぇ」
あははーとそう言いながら後頭部を掻く髭切様。
見つかった部品も合わせて折れた刀身と眠る髭切様を
習合させたのが昨日。
習合させた筈なのに全然起きる気配が
しなかったものだから物凄く心配したのだけど、
当の本人は呑気に笑いながら
反省しているんだかしていないんだか。
『一時はどうなるかと……』
髭切「君も僕の願いを叶えてくれてありがとう」
『辛くはないですか？その、急に記憶が戻ったから』
髭切「うん。平気だよ。
記憶、君も習合する際に見たんだったね？
霊力も辛かっただろうに」
『いえ………』
髭切「君もあの記憶は辛いものだと思うかい？
でもね、ここで過ごした時間は
僕にとって大切なものの一つだよ。
それに全て過ぎた事だ。
君がそんな顔をする必要はないんだよ？」
髭切様はそう言って、よしよしと私の頭を撫でる。
彼の記憶は、見ていて辛いものだった。
でもそれでも彼はそれを糧としているんだろう。
強い方だ。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ％さん» 訂正しました！指摘ありがとうございます！！これからもよろしくお願いします！ (2019年11月15日 22時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
％ - いつも楽しく読ませて頂いております！誤字があったので、お知らせしますね。参佰陸の「見つけます」が「見つめます」になっています…。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月15日 18時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年11月11日 7時
