†参佰拾肆† ページ25
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何度目だろう。
何度、弟は記憶を失って来ただろう。
主力部隊は幾度も記憶を消された。
彼女の御守りを持った僕だけを残して、
皆……………忘れていく。
目の前で術にかけられて、目を覚ませば
すっかり忘れてしまう。
とうとう、彼女の事も思い出せなくなった
仲間が増えてきて……………
君が遠い存在となってしまった。
忘れる度に、物らしくただ主命をこなして、
喜ぶ姿があまりにも痛々しく感じた。
主を信じて動くのが僕らだけど、
こんな姿じゃなかった。
この本丸はもっと、優しいもので
出来ていた筈だった。
いつまで、待てばいいのかな。
忘れるフリも、疲れてきちゃったよ。
膝丸「兄者…………何を見ているのだ？」
髭切「嗚呼、弟。見てごらん？蝶だよ。綺麗だね。
…………蝶は元は“芋虫”なんだって」
膝丸「…………そうなのか？
兄者はどこでそれを知ったんだ？」
髭切「“主”から聞いたのさ」
君に会いたい。
君に会いたいなぁ。
戻りたいな。あの日々に。
君がいるあの本丸に。
髭切「どうして蝶は緑色じゃないんだろうね。
芋虫の頃は葉も食べるし、色も緑色だし。
それだったら…………お前の名前も、
覚えられるだろうに」
膝丸「兄者？」
人は死ぬと天国って言う所へ行くんでしょ？
じゃあ僕は……………本霊に帰るだけなのか。
なら同じ所へは行けないね。
僕は刀。刀としての生き方しか知らない。
……………人の隣しか知らない。
どこまでも僕は刀だね。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
膝丸「ﾊｧﾊｧ……………ここまで、か」
髭切「ﾊｧﾊｧ、ﾌｩ……………お前、強くなったね」
膝丸「いや、貴方に比べれば……………」
髭切「御守り、もう使えないね」
膝丸「……………兄者、俺は貴方に出会えた事、
兄弟であった事……………誇りに思っている」
髭切「僕も、だよ」
ごめんよ、主。
約束……………守れなかった。
弟も守れなかった。駄目なお兄ちゃんだね。
でも久々に刀を振るった。
一度やってみたかったんだ。
折れるまで、戦い続けるってどんな感じ何だろうと。
あちこち痛いけど……………
髭切「(嗚呼“痛い”って、生きている証拠なんだな)」
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冷泉 雪桜(プロフ) - ％さん» 訂正しました！指摘ありがとうございます！！これからもよろしくお願いします！ (2019年11月15日 22時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
％ - いつも楽しく読ませて頂いております！誤字があったので、お知らせしますね。参佰陸の「見つけます」が「見つめます」になっています…。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月15日 18時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年11月11日 7時
