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†佰伍拾弐† ページ33










膝丸「他の刀剣には見えない?」


『ええ、そうなんです。
でもどうして膝丸様は見えたんでしょうか』


膝丸「妖を斬った、からではないのか?」

『土蜘蛛を斬ったんでしたっけ』









どうやら一部の刀剣男士には面影様は見えるらしい。
刀は元より斬るのは人の肉だ。
だが膝丸様は“人ならざる者”を斬ってる。
それによる影響かどうはは知らないが
見える仲間がいる事は結構心強いものだ。

後見える刀はは御伸刀である石切丸様か、
神の手により打たれた小狐様か…………
いずれにせよ、刀始まりの時代の平安の刀の力は
底知れない…………

そんな事を思いながら、膝丸様が面影様を見かけた
場所まで案内してもらっている。









膝丸「君が来る前からいたのは初耳だな」

『隠れてたらしくて…………』


膝丸「北条の大太刀か…………少し違うが、
北条は平家の血筋だからな。些か複雑ではあるが、
“鶴丸”がいたら…………」


『?膝丸様?』


膝丸「いや、何でもない…………
ん?あそこにいるのは蛍丸ではないか?」









中庭から畑に向かっていた時、
膝丸様はとある方角に指を指す。

指先の方角には花畑の中に埋もれるように
うずくまる蛍丸様がいた。

ここは、私も知らない場所だ。
小さな小川沿いに咲く見事な花畑。
名前も知らない花の中に、彼はいる。

彼が座るところだけ花が咲いていない。
多分いつもここにいたんだ。









『…………あっ………(面影様がいる)』









瞬きした時、気がついたら面影様は体操座りで
うずくまる蛍丸の目の前に立っていた。

そこにいた彼はニコニコしていた笑顔はなく、
悲しげに小さくなっている蛍丸様を見つめている。









“蛍丸、大丈夫大丈夫”

“俺が側にいるよ”

“ここにいるよ”

“だから、泣かないで?”









彼はしゃがんで、自分の黒い手袋を外して、
蛍丸様の頭を撫でる。
勿論、蛍丸様はその手を感じることはない。

ただ、火傷の痕を思わせる彼の素肌の手は、
確かにその小さな頭を撫でていた。
…………息がかかるほど近くにいるのに。
感じることはできない。声も、姿も。









膝丸「大丈夫か?」


『…………こう言った場面は、
何度か見たことがあります…………

だから、心のどこかで
慣れていたつもりなんですけど、
ハハッ…………駄目ですね、ちっとも慣れない。
慣れて、くれない』


膝丸「…………」









†佰伍拾参†→←†佰伍拾壱†



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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます!薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね!これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました!薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です! (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年9月6日 1時

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