†佰参拾壱† ページ12
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膝丸「君が気を沈める必要はない。
此度の件は俺の弱さだ。
これでは兄者に顔向け出来んな」
『膝丸様…………』
膝丸「しかし人は、強いな」
『えっ？』
そんな時、私が考えていた事を
まるで否定するかの用な言葉を述べる膝丸様。
彼は自分の手を眺め、静かに続ける。
膝丸「君に触れて分かった事がある。
俺はこんな思いをするならば、
心などいらなかったと思っていた。
だが、人は背負うにはあまりにも重い、
“感情”と言う業と共に生きている。
辛くとも、悲しくとも…………それを抱え、生きている。
それが人しか持てない“弱さの優しさ”なのだと」
彼は私に向かって、目を細め…………薄く微笑みを見せた。
私はその言葉に、どう返せばいいのか分からなかった。
でも、彼の言葉は私の中に、深く刺さって。
何とも言い表せないこの感情は、
人である私にも分からなかったが…………
暖かくて、優しいものだった。
ようやく彼の瞳からは憎悪が消えて、
ぎこちないものではあったが、
笑顔を見せてくれた。
私は彼に何かを与えられた気がしないが、
その笑顔だけは、本物だとそう思えた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『鍛刀してみようかと思います』
それから数日後、突然の発表に
素振りをしていた和泉守様が手を止める。
“なに言ってんだこいつ”と言わんばかりの
呆れ顔を私に向けていた。
和泉「急な話だな。てか何で俺に言うんだよ」
『いえ、見かけたので何となく伝えようかと』
和泉「はあ？」
『深い意味はありません』
和泉「あ、ああ…………そうかよ。
で？何でその気になったんだ？
今までお前散々“鍛刀はしない”って言ってただろ」
『ええ、そうなんですが…………』
決断した発端は、膝丸様と話した次の日の事だ。
石切丸様にこの本丸で姿を保てている刀剣男士は
あとどれほどいるのかを聞いてみた所、
今まで対面したメンバーのみと聞かされた。
今まで対面したメンバーは
燭台切光忠、薬研藤四郎、前田藤四郎、
五虎退、乱藤四郎、和泉守兼定、歌仙兼定、
岩融、今剣、小狐丸、獅子王、膝丸、石切丸、蛍丸
…………と、計14振りだけ、と…………
元々ここにいた刀剣男士は40を越えていたらしいが、
流石に減りすぎである。
眠りについた刀剣が多く、
眠っている刀剣達の本体は無事みたいだが、
かなりの人手不足と言うのが分かった。
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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます！薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね！これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました！薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です！ (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年9月6日 1時
