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†佰肆拾玖† ページ30








“…………止めてくれっ!頼むっ!
帰って、傷を直してくれっ!!”








何度も声をかけた。でも俺の声は届かない。
三振りには聞こえない…………
俺はどうすることも出来なかった。

だから出来るだけ敵を減らしてやることしか出来ない。
でも時代が進むにつれて、俺の力も衰え始めて。


ついには自分自身を振るえなくなる程に
衰えてしまった。
今思えば、焼けた筈の自分がこうして
人の形を模してる事が奇跡に近いのだ。

とうとう、俺は本当に存在するだけの
存在でしかなくなって、
戦い続けてる三振りの後ろ姿を
見守ることしか出来なくなってしまった。





面影side〜end〜
______________

Aside








『…………それから?』

面影「…………」







その時、文字を書いていた彼の指が止まった。
そして私の方を向いて…………にっこり笑って
スケッチブックを見せて来る。








面影「【忘れた】」

『…………忘れた?』

面影「【それから暫くして、会わなくなった】」

『時間を遡行して、来なくなったってこと?』


面影「【俺もあまり力がない。
だから体が保てなくなって、眠りについた】」









面影様は深く頷いてそう答える。
でも、それは“これ以上は話したくない”と
言いたげなもので。
私は詮索するのを止めることにした。
だってあまりにも切なげに笑うものだから。
返って申し訳なくなってしまった。









面影「【この時代になって、戦争が無くなったからか、
俺はまた動けるようになった。
それからさ迷い続けてここに来た】」


『…………そう、でしたか』


面影「【まあここも君が来る前までは
酷い有り様だったから、表に出れなかったけど】」









…………ん?ちょっと待て。
今この人“君が来る前までは”って言ったか?
今日まで姿を現さずに、
ここに居座っていたってこと!?

思わず面影様を二度見した私。
彼は私の心情を知ってか知らずか
お得意の微動だにしない笑顔を向けるだけ。


え、なにそれ怖すぎ。
幽霊みたいなって、まるっきし幽霊じゃないか。









面影「【俺、蛍丸に会えて嬉しい。
でも蛍丸の隣に明石も愛染もいない。
蛍丸、寂しがってる。助けてやりたい】」









その時、ペラペラと机に置いてあった宣之言書(のりとごとのしょ)
自動的にページを開き、









面影「【蛍丸を元気つけてほしい】」









ポウッと“面影”の名が刻まれた。

†佰伍拾† “呪縛”→←†佰肆拾捌† “鏡の写した世界”



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冷泉 雪桜(プロフ) - tomo10260403さん» コメントどうもありがとうございます!薄桜鬼も読んでくださって……感謝でしかないですね!これからもよろしくお願いいたします (2019年9月17日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - 冷泉 雪桜さまの作る作品の虜になりました!薄桜鬼も刀剣乱舞も一気に読んでしまって、小説を読むのが苦手なほうなのですが、のめり込むようにするすると入ってくる文章に、夢中です! (2019年9月16日 17時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年9月6日 1時

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