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†陸拾玖† ページ30









和泉「国、広…………」

堀川「か、ね……さ…………」

和泉「ッ!どけてめぇらぁああっ!!!!」









堀川様の綺麗な瞳は、
段々とくすんでいくのがわかった。
やたらゆっくりに見えて、
やがて和泉守様は走り出す。

彼の、元へ…………


凄まじい威力だった。怒りに任せて刀を振るう彼は、
化物より、強かった。

次々と斬り倒して、血の道を作る。









和泉「国広!国広っ!!」

堀川「兼、さ…………」

和泉「すまねぇっ!すまねぇ国広っ!!」


歌仙「和泉守っ!もう、持たないっ!!」

和泉「ッ…………撤退する!!」








胸の奥が熱かった。苦しかった。
酷い後悔の渦が私を襲う。
堀川様がどれ程大切な存在だったか、
どれ程大きな存在だったか…………

それが痛いほどに痛感した。
互いが互いを思い合ってて、どちらも自分ではなく、
“彼を失いたくない”と言う気持ちが前に出ていて。

見るだけの私は、胸が締められるばかりで。




_________________







“帰ったか”


和泉「主っ!国広をっ、国広を助けてくれっ!!
直せるのは、あんたしかいねぇんだ!!
他にも重症の奴等もいる!頼むっ!!」







すがる思いだった。どうしても助けたかった。
そんな思いが、伝わってくる。

血塗れの堀川様を抱えたまま、彼はそう訴えた。


…………だけど、面で顔を隠している主である男の声音は
変わることはなかった。









“…………和泉守、今回の遠征で
かなり強くなったみたいだな”


和泉「ッ!?」

“なら【ソレ】を使って、もっと強くなれ”

和泉「な、に…………言って」







“【ソレ】はもう【ツカエナイ】”

“だが錬結するには丁度いいだろ?”

“寄越せ”






和泉「ッ!待っ…………!」









バキンッ









男は堀川様の本体を取り上げて、折った。
ちゃらちゃらと、刀身の破片は虚しく落ちていった。

和泉守様は唖然としたまま、手元を見る。
抱えていた筈の堀川様はいつの間にか、
いなくなっていた。

手についた血が、現実を見せていた。









和泉「…………して、やる」

“何だ”


和泉「ぶっ殺してやる…………首を出せ…………

てめぇの首を斬り落として、
獣の餌にしてやるよっ!!!」









†漆拾†→←†陸拾捌† “冷たい雨”



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冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます!薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします! (2019年8月28日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています!! (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年8月20日 1時

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