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†陸拾伍† ページ26








小狐「それと、歌仙殿。
薬研殿がお主を探しておったぞ?」


歌仙「薬研が?…………分かった。
では小狐丸、私の代わりに側にいてやってくれ」


小狐「言われずとも」








歌仙様は小狐様の言葉にそう返すと、
そのまま部屋を出ていってしまった。

今は小狐様と二人きりだ。








小狐「薬研殿から話しは聞いておりまする。
主様(ぬしさま)の体に堀川殿が憑依しているとか」


『あ、はい…………でも大した支障は
ありませんので、ご心配なく』


小狐「しかし、勿体のうございますな。
主様(ぬしさま)のよい桜の香りがあまりしませぬ…………
堀川殿の神気に少々負けている様子」


『えっ、そんな事まで?』









思わずそう口に出すと、小狐様はにっこりとしながら
“野性故”といつものように話す。

しかし、桜の香りなんて
自分のどこから放出してるのだろうか。
加齢臭よりかは断然といいが、
そもそも桜の香りとはどんな匂いだろうか。
自分が知らない事が多過ぎて、
ちょっと何か不安になってきたぞ。







小狐「今、彼の意識は?」


『いえ、眠っているようです。
疲れてしまっているみたいで』


小狐「ならば今の内に話しておきましょう」


『ん?』


小狐「主様(ぬしさま)は優しいお方じゃ。
だが、それ故に引き寄せやすい…………」


『!』


小狐「油断なされるな。
私達はいつも主様(ぬしさま)を見ている。
隙をお見せになられぬよう」









その時の小狐様の瞳は真剣そのもの。
まるで、以前の彼のようだ。
こちらを狙う獣の瞳…………
それは今か今かと餓えた獣だった。

こう言った事は、今まで経験してきたが、
こればかりは慣れない。

絶対的な力の圧で、
心臓をそのまま握りつぶすような殺気。
私は人間だから、彼らが本気を出せば
あっと言う間に殺せるだろう。









『…………ご忠告ありがとうございます。
でも……それは彼らに触れるなってことになる。
平気ですよ、私はそれでも彼らといたいから』


小狐「……………」

『?小狐様?』


小狐「いえ。こんなことなら、
もっと早く…………主様(ぬしさま)に出会いたかった」


『ハハッ…………私も』









早く会っていたら…………
彼らとは家族みたいな関係でいられたのかな。

†陸拾陸† “居ない助手”→←†陸拾肆†



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冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます!薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします! (2019年8月28日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています!! (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年8月20日 1時

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