†陸拾肆† ページ25
背中を斬られた…………
この痛みは、その時の傷の痛みだろうか。
その話を聞いただけで、
私は胸が締められたような感覚を覚える。
『それは…………』
歌仙「前任の言霊術は強力な力だった。
名を縛れば、その命さえも左右するほどの霊力。
それだけ名前と言う物は強い力を秘めているのだよ。
名はその者の存在を示す、大事なものだからね」
『……………』
前任の審神者は、どうしてそんな事をしたのだろう。
私には分からない…………
ここにいる皆はそれがきっかけとして
人を忌み嫌うようになったが、
私は怒りよりもその前任の行動が疑問でしかならない。
そこまで彼らを強いる意味は
一体なんだったのだろうか。
今ではそれを知る術がない。
『(…………呼び掛けているけど、
堀川様からの返答はない…………)』
多分それだけの力が、今の彼にはないと言う事だ。
気配は感じるが、弱々しい…………
元々は折られていたのだ。
その弱い神気を私が触れたことにより、
半端強制的に目覚めさせたようなもの。
疲れてしまうのは無理もないだろう。
歌仙「…………君は彼を錬結するつもりかい？」
『………………』
歌仙「それが彼の願いなのだろう？」
『確かに、そうですが…………
私はやりたくはありません。
そうしてしまったら、
和泉守様は虚しいまま…………大きな悲しみを
背負わせてしまう事になる。
そうなったら、私はきっと後悔する』
見事なまでに綺麗事だ。
自分で言って置いてなんだが、自分が嫌になる。
堀川様が折れてしまった事にはかわりない。
折れてしまった刀身が、直ることはないのだから。
…………私はその事実を、受け入れたくないの、かな。
嫌だなぁ…………
??「
歌仙「？小狐丸…………」
その時、小狐様が私の部屋を訪れていた。
私の姿を見た小狐様は少し疑問の眼差しをしていたが、
ぱっと切り替えて私に微笑み返す。
小狐「
感じましたので様子を伺いに参りました」
『えっ？そんな事分かるんですか？』
小狐「
特殊な物にございますので」
な、成る程。よく分からないが、
これも憑依の表れだろうか。
いやしかし、自分の事ながら自分の霊力が
どれ程の物か、いまいちピンと来ない物だ。
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冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます！薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします！ (2019年8月28日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています！！ (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年8月20日 1時
