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†陸拾参† ページ24








…………でも。








“それから兼さんはね…………”








これほど彼を慕っているのに、
“錬結してほしい”と言う堀川様。

それって堀川様が居なくなる、
と言うことではないのだろうか。

彼は、寂しく無いのだろうか。









『(…………刀は)』

“どうしたの?審神者さん”

『(錬結した刀の御霊は…………どこへいくの?)』

“え?”


『(貴方はこうして、私に憑依しているけれど、
本体が無くなったら…………
それと共に貴方も消えると言う事だろう?

本当にいいのかい?)』


“……………いいんだ。折れた僕はもう、
兼さんになにもしてあげれない。

それは嫌なんだ。僕はどんな形になっても、
兼さんの役に立ちたいんだ”









静かにそう告げる彼。
その声音は覚悟の意を表していた。
本当に?本当にこれでいいのか。

和泉守様は、身を呈して堀川様の本体を
今まで守ってきた。
少なくとも…………和泉守様は、
それを望んではいないはずだ。

そうでなければ錬結されかけた刀身を、
あそこまで守るだろうか。








『うっ!?』


歌仙「!どうしたんだい?
って、顔色が悪いよ…………真っ青じゃないか!」


『くっ…………せ、背中、が…………』

歌仙「?背中?」








その時、鋭い今まで生きてきた中で
一番の痛みを感じた。
何だこれ…………背中が燃えるように熱いっ。
背中が熱を帯びて、痺れるような…………









歌仙「少し熱があるようだ。
作業は切り上げよう…………

人の体は至極弱いものだからね」


『すみ、ません』









それと共に、堀川様の声が聞こえなくなる。
一気に体が重くなって、思うように動けない。

この感覚…………もしかして、堀川様の?




_________________







歌仙「大丈夫かい?」

『はい…………少し』


歌仙「……………前任が亡くなる一週間ほど前。
長期遠征中の事だった。

歴史修正主義者である時間遡行軍が現れた。
いつも以上に強敵な相手で、
しかも雨の霧のせいで視界が悪かった」









部屋に戻った時、冷たいお茶を私に差し出しながら、
彼は突然語り始めた。

その時に、彼もその隊に入っていたと言う。








歌仙「その時、堀川は傷を隠していてね。
疲労もあった。それで敵に隙を突かれてしまった。

堀川は敵に背中を斬られたんだ…………」









†陸拾肆†→←†陸拾弐† “相棒”



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冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます!薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします! (2019年8月28日 12時) (レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています!! (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2019年8月20日 1時

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