†伍拾壱† ページ12
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岩融「俺は顕現が他の者よりも遅かった。
故に、以前の主の事は正直分からぬ。
面と話したこともなかったのでな」
岩融さんはそう言って、
遊んでいる乱様と今剣様を眺める。
言われてみれば確かに岩融様の体には
傷はあまり見られない。ほぼ無傷だ。
だから私をあまり警戒をしていないようだった。
ただ、その瞳はやはり許せないものがあっただろう。
皆と同じ憎悪の炎をその瞳の奥に
僅かに宿しているのは分かる。
岩融「今剣は、俺が顕現される前まで
あまり良い扱いはされてなかったようだ。
何回か折られたようだったな。
前任が死んだときはいい様よと思ったが、
残された者達の傷は深い…………」
『………………』
岩融「だから今剣は屋根から降りる事がなかった。
審神者の言霊は、姿を見た上で
名を呼ぶことにより、呪縛する力。
地に降りては、姿を見せる事になる故
逃れる術がないからな」
岩融様のその声音は、どこか悔しげだった。
話を聞けば、彼は今剣様と
仲が良いと言うのが分かった。
刀剣である時代の主に関係があるからか、
二振りの距離は近いものだと思われる。
だから岩融様は一番近くで今剣様を…………
そして私に近い視点から、
この本丸を見てきたのだろう。
ボロボロに傷つけられ、悲鳴をあげていた
この、場所を…………
岩融「だが近頃、主が来たことによって
地に降りることも多くなり、
度々見かけるお主の話をするようになった。
良い傾向だろう。感謝するぞ、主よ」
『私の話？』
岩融「あまりにも今剣が主の話をするのでな！
一度、こうして言葉を交わしたかったぞ！
がはははは！！主ならば、
きっとこの本丸を変えられよう！」
『…………いいえ、私はそこまでの力はありません。
自分は、まだ…………そこまで信用はされておりません。
今更ながらに、先程その大きな壁の厚さを
痛感したばかりで…………私はまだ未熟で。
ほんっと、他者との会話に
慣れていない自分が嫌になります』
私はぎりっと自分の手を握り締める事しか出来ない。
心のどこかで私は楽観的に見ていたのかな。
悔しいよ、つくづく嫌いになる、自分が。
そう思って俯いていると、
わしゃわしゃと大きな手が私の頭を
そりゃもう容赦なしに撫で回してきた。
驚いて顔を上げると、岩融様はニカッと笑う。
岩融「未熟で良し、それが心があるということ。
ﾆｯ…………人とは、そう言う物ぞ！！」
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冷泉 雪桜(プロフ) - ブドウ農家の一人っ子さん» 薄桜鬼からすっとんで来てくれてありがとうございます！薄桜鬼の方がネタ切れになって中々進めれる事が出来ませんが、これからもよろしくお願いします！ (2019年8月28日 12時) (
レス) id: 18535e1a43 (このIDを非表示/違反報告)
ブドウ農家の一人っ子 - 薄桜鬼のほうからとんできて一気読みしました・・・冷泉さんの作品は控えめに言ってどれも神ですね(語彙力の喪失) これからも応援しています！！ (2019年8月27日 20時) (レス) id: 70ec3f117a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2019年8月20日 1時
