捌拾伍 ページ6
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痛みを感じれないのは分かってはいるけど、
元々の燭台の兄さんとは違うんやろな。
ただ、あのガラスのような目の奥に
知られとうない事を自分でも覆い隠しとるみたいで。
『(何や、寂しいな)』
そん時、影からヒソヒソと何や小言が聞こえよった。
“不気味な赤目”だの“赤い蝶の刺青がある”だのと、
十中八九、うちの事を言った言葉。
………別に今更やし、慣れてもうたから
なぁんもないけどな。
でも、兄さん達に聞かされるのは
ちょっとな、面倒やな………
『(ここもここでうちは多分………)』
燭台「妖魔君、どうかした？」
『別になんもないで。こっち来てくれる？兄さん達。
こっちが近道やねん。また獣道で悪いけどな』
うちは人目を避けるためにわざと
都の端にある森を目指した。
体に刻まれたこの蝶の刺青がある限りは
この都から抜けるんは困難になる。
兄さん達はまあ何とかなるかも。
うちは………“アレに参加”かな。
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鶴丸「ﾌｩ蒸し暑いな………」
『我慢してな。あの都から手っ取り早く
離れられるんはこっちからの方がええねん』
燭台「………その腕の刺青が関わっていたりする？」
『！！』
歩いとる時やった。燭台の兄さんがそう口にした。
流石、鋭いと言うか何と言うか。
焦り過ぎたやろか。
嗚呼もう、悟られへんようにしとったんに。
『…………恐ろしい人やな兄さん。
そう、この蝶の刺青、あまり良くないもんなんよ。
この都だと特に邪険な扱いになるからなぁ』
切国「さっきの小言を言っていた
奴らの言っていた事がそれか」
『え、気づいとったん？』
鶴丸「きみが何も言わないからな。
放って置いたが」
うわマジか。兄さん達気づいとったんか。
え、何？うちって案外
そう言う気配的なもんに疎いんか？
いや………兄さん達が凄すぎるだけか。
刀剣の付喪神やし、そう言うんも
敏感だったりするんかな。
『ま、まあ深く詮索して
来へんかったんは助かるけど………
………あのな？これは──』
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作者名：冷泉 雪桜
| 作成日時：2020年7月21日 18時
